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2018年11月30日
【29日のニューヨークダウは4日ぶり小幅反落、米中首脳会談控え様子見ムード強まる】(11月30日配信)
マーケットコメント 2018年11月30日
【29日のニューヨークダウは4日ぶり小幅反落、米中首脳会談控え様子見ムード強まる】
11月29日(木)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 29日の米株式市場で主要3指数は小幅に反落、ニューヨークダウは前日比27ドル安い25,338ドルで引けた。米FOMC議事要旨公表を受けて米長期金利は3.03%に低下した
- 早期の米利上げ打ち止め観測から前日に株式相場が急伸した反動で、朝方は利益確定の売りが先行した。ただし、米FOMCの議事要旨公表を受けて、来年以降の早期米利上げ打ち止め観測が改めて意識されダウの上昇幅は一時100ドルを超えた
- 12月1日の米中首脳会談を控え様子見ムードが広がり積極的な売買は控えられた。アナリストがそれぞれ買いを推奨した航空機のボーイングと外食のマクドナルドが上昇、アナリストが目標株価を引き下げたアップルは小幅安。米長期金利低下を受けて金融株が安い
- ロシアが原油の減産に踏み切るとの報道を受け、原油先物価格が反発、エネルギーや素材がセクター別値上がりの上位となった
米長期金利
- 10年国債利回り:3.03%(前日3.05%)、米FOMC議事要旨の公表や米インフレ指標の発表を受け利回りは低下(国債相場は上昇)
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=113.41-113.42円(前日113.64-113.65円)、ややドル安・円高で推移
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:25,338ドル(前日比-27ドル)
- S&P500種株価指数:2,737ポイント(前日比-6)
- ナスダック総合株価指数:7,273ポイント(前日比-18)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,221ポイント(前日1,231ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):18.79(前日18.49)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:エネルギー、素材、ヘルスケアなど
- 下落:情報技術、金融、一般消費財など
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:ボーイング、ユナイテッドヘルス・グループ、マクドナルドなど
- 下落寄与:ゴールドマン・サックス、ビザ、ホームデポなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=51.45ドル(前日比+1.16ドル)、ロシアが減産に踏み切るとの報道を受け、需給の緩みが長期化するとの観測が後退した
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1230.4ドル(前日比+0.6ドル)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
マーケットが注目したと思われる材料
米FOMC議事録
- 米連邦準備理事会(FRB)は29日、米FOMCの議事要旨(11/7-8分)を公表した。ほぼ全員が「さらなる段階的利上げが適切」との意見で一致し、追加利上げは「まもなく正当化される」として次回12月会合での利上げを示唆した。しかし、一部の参加者は政策金利が「中立水準付近」にあるとして、今後の利上げペースは「不透明」と主張、時期について慎重な見方を表明。数人はすでに政策金利は中立水準近くにあり「さらなる利上げは経済活動を減速させる恐れがある」と主張した。参加者の多くは、景気・政策見通しの評価が今後データ本位となる点を強調する表現に変えることが適切とした。こうした変更は、FOMCが経済環境の変化に「柔軟なアプローチ」をとる点を伝えるのに役立つとした→FRBとして今後の金融政策の柔軟性を確保するためのメッセージとみられる。早期の利上げ観測が改めて後退する材料
米10月のコアPCE価格指数鈍化
- 米商務省が29日発表した10月の個人消費支出(PCE)価格指数は変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が前月比0.1%上昇と、9月の0.2%上昇から鈍化。前年同月比は1.8%上昇し、2月以来の小幅な伸びとなった。インフレが落ち着いていることを示している。コアPCEの前年同月比上昇率はFRBが物価の目安として重視している→物価上昇率の鈍化を受けて米長期金利は低下した
ドイツの11月CPI鈍化
- ドイツ連邦統計庁が発表した11月のCPI速報値は、欧州連合(EU)基準(HICP)の伸びが前年比2.2%と、前月の2.4%から鈍化した。ただ欧州中央銀行(ECB)が目標とする2%弱の水準は引き続き上回っており、域内金融緩和の段階的な解除の流れに変更はないもようだ。市場予想は2.3%だった
当面のマーケットのポイント
日経平均は戻りのポイントが集中する22,500円台を前に利益確定売り
- 29日の日経平均は5日続伸となり22,262円まで上昇、取引時間中の高値は22,437円まで買われたが、大引けにかけて押し戻された。この高値の上には26週移動平均線(22,553円)や75日線(22,558円)など投資家の中長期の買いコストが集中、また10月安値後の戻り高値である22,583円など重要な価格ポイントがある。ここを抜くには相当なエネルギーが必要で米中首脳会談の結果を受けた来週以降の注目点
裁定買い残が今年最低を更新
- JPX日本取引所グループが29日発表した裁定買い残(11月22日時点)は、前週比563億円減の1兆609億円となった。直近ボトムだった10月26日の1兆614億円を下回り今年最低となった。
- 日経平均が27年ぶりに高値を付けた直前(9月28日時点)の裁定買い残は2兆5,628億円もあったが、米国株式の急落を受けた日経平均先物市場が急落となり、現物に裁定解消売りが加速、裁定残は約2カ月間で58%も減少した。しかし、裁定残の水準は歴史的に低水準となっており、ポジション調整は一巡したと思われる。しかし、再び増加に転じるには材料が乏しく、次の買い材料待ちと言える
11月以降に株式相場が底堅い背景
- 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2018年9月末の運用資産は169.9兆円。このうち国内株式は43.56兆円と全体の25.65%を占めている。一方、TOPIXは9月末から10月29日の年初来安値(1,589ポイント)まで12.5%下落した。
- TOPIXの下落と同じ比率でGPIFの株式の時価総額が低下したと仮定するとGPIFの株式資産は5兆円以上減少したと推測される。逆にみるとGPIFの株式買い(リバランス)余力が高まっていると考えられる。株価の下値には年金資金等、中長期の投資資金が指値買いを入れている可能性が高い。11月21日のTOPIXの2番底(1,615ポイント)以降、株式相場が下値を固めつつある背景と思われる
11月29日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:22,262円 (前日比+85円)
- TOPIX:1,659ポイント(前日比+5)
相場のポイント
- 29日の東京株式市場は5日続伸、日経平均は前日比85円高い22,262円で引けた
- 東証1部の騰落銘柄数は値上がりが1,301銘柄、値下がりが730と買いが優勢だった
- パウエル米FRB議長の講演を受けて、FRBの利上げ打ち止め時期が予想より早まるとの思惑で、前日の米国株式が大幅に上昇し、投資家心理が強気に傾いた
- 米長期金利の先高期待の後退で為替が1ドル=113.20円台とやや円高傾向で推移したことで大引けにかけて利益確定売りに押された
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.42倍(前日13.41倍)
- 東証1部売買代金:25,303億円
- 東証1部年初来高値銘柄数43 /年初来安値銘柄数7
- 東証1部値上がり銘柄数1,301 /値下がり銘柄数730
- 東証1部騰落レシオ102.69%(前日102.63%)
- TOPIX33業種
上昇上位:サービス、その他製品、空運、医薬品、石油石炭など
下落上位:水産農林、鉱業、保険、食料品、パルプ紙など
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:ソフトバンクG(+31円)、リクルートHD(+16円)、ダイキン(+15円)など
下落寄与度:KDDI(‐22円)、ユニー・ファミマ(‐21円)、資生堂(‐6円)など
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