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2018年11月28日
【27日の米国株、ダウ平均は続伸し108ドル高】(11月28日配信)
マーケットコメント 2018年11月28日(水)
【27日の米国株、ダウ平均は続伸し108ドル高】
11月27日(火)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 27日の米株式市場で主要3指数は上昇、ニューヨークダウは前日比108ドル高い24,748ドルで終えた。
- 朝方は米中貿易交渉への警戒感から下げて始まり、ダウは一時200ドル超下げる場面がったが、今週末の米中首脳会談で何らかの合意に至るとの期待が高まりプラスに転じた。ユナイテッドヘルス・グループや、住宅関連のホームデポなどがダウを押し上げた。
- 前日に会社分割の発表と併せて通期の1株利益見通しを引き下げた航空機・機械のユナイテッド・テクノロジーズが4%超下落し1銘柄でダウを35ドル引き下げた。
- ドル円相場はクラリダ米FRB副議長が緩やかな利上げ見通しを示したことや、欧州への自動車関税引き上げ報道などでユーロが対ドルで下落、ドルは113.70円台の動きとなった。
米長期金利
- 10年国債利回り:3.05%(前日3.05%)と変わらず
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=113.76-113.77円(前日113.57-113.58円)、ドル高・円安の推移
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:24,748ドル(前日比+108ドル)
- S&P500種株価指数:2,682ポイント(前日比+8)
- ナスダック総合株価指数:7,082ポイント(前日比+0.8)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,204ポイント(前日1,201ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):19.02(前日18.90)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:ヘルスケア、生活必需品、公益事業など
- 下落:素材、エネルギー、資本財・サービス
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:ユナイテッドヘルス・グループ、ホームデポ、ジョンソンエンドジョンソンなど
- 下落寄与:ユナイテッド・テクノロジーズ、トラベラーズ、ナイキなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=51.56ドル(前日比+0.07ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,213ドル(前日比-9ドル)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
マーケットが注目したと思われる材料
- クラリダ米FRB副議長は27日の講演で、FRBは引き続き緩やかな利上げを継続する必要があるとしながらも、米国の金融政策が中立的なスタンスに近づきつつあるなか、新たな経済指標を緊密に注視することが「特に重要」となっているとの認識を示した→慎重に言葉を 選びながら、経済指標によっては政策に柔軟性を持たせたいとするメッセージと考えられる
- 米調査会社コンファレンス・ボードが発表した11月の米消費者信頼感指数は135.7で、約18年ぶりの高水準だった前月から2.2ポイント低下した。2ヵ月連続の低下で市場予想(135.8程度)とほぼ一致した。「現在の景況」は172.7で同0.8ポイント上昇したが、「短期の見通し」は111.0で同4.1ポイント低下した。→「短期の見通し」は株式市場の変動を受けやすく、足元のマーケットの状況が消費者マインドにやや影響を与え始めた可能性がある
- 世界半導体市場統計(WSTS)は27日、2019年の世界の半導体市場規模が2018年比2.6%増の4,901億ドル(約55兆6,000億円)になるとの予測を発表。貿易戦争に伴う世界経済の不透明感から4.4%増としていた6月時点の予測から下方修正→10月の半導体セクターの下落はこうした先行き市場の停滞を前倒しで織り込んでいた可能性がある
当面のマーケットのポイント
【本日の東京株式市場】
- 本日の東京市場はしっかりの展開か。シカゴの日経平均先物が22,000円台に乗せて帰ってきたことや、為替が1ドル=113円台後半の推移であることから朝方は買いが優勢となる見込み。その後は今晩のパウエル米FRB議長の講演を控えて様子見姿勢が強まると見られる。
【米金融政策の行方】
- 11月14日のパウエル米FRB議長の発言がハト派的と受け止められて、金融市場の米利上げ期待は後退した。金融市場が織り込む米利上げ回数は12月に1回、2019年は1回半程度で2019年末まで計2回半と、9月米FOMCにおけるFRBの委員が示したドットチャートから読み取る利上げ回数(2019年末までに計4回)よりも相当に慎重な見通しとなっている。利上げ見通しの低下は銀行株には逆風だが、新興国経済の安定につながるため、悪いことばかりではない。
- 次回の米FOMC(12月18-19日)に向けたイベントで市場が注目するのは11月28日のパウエル米FRB議長によるニューヨーク経済クラブ(NYEC)での講演と、12月5日の米上下両院合同経済委員会(JEC)での議会証言。特にNYECでは来年の経済見通しと金融政策の進め方について見解を述べる可能性が高いが、Fedウォッチャーの一人は「より柔軟に動く余地を確保する」発言になるのではないかと予想している。
- 仮に12月の米FOMC以降に、米FRBのシナリオとして来年の利上げ見通しを引き下げた場合、米国株式にはプラスとなる可能性が高いが、為替市場では一時的に米長期金利の低下を受けたドル安(円高)に振れるリスクがある。しかし、米景気に配慮した米FRBの政策が市場で好感され、米株式市場の反発が持続すれば、相場の地合いがリスクオンとなり、ドルは再び買われるシナリオも想定される。
【米長期金利の低下とWTI原油先物の暴落は投機筋のポジションが影響した可能性が高い】
- 米長期金利の低下は先行き米景気の減速を意識させ、WTI原油先物価格の暴落は投資家心理に大きな影響を与えた。いずれも投機筋のポジション調整が影響していると考えられるが、ポジション調整はピークを越えた可能性が高い。以下に投機筋のポジションをチェックしてみる。
WTI原油先物のポジション動向
- 投機筋のWTI原油先物の買い越しポジションは9月最終週の56万枚から11月13日には今年最低となる36.7万枚へ34%も減少した。WTI原油先物は10月上旬の高値から3割以上下落しており、投資家心理にも大きな影響を与えたことは間違いない。下落の直接的な理由に投機筋のポジション調整が大きく影響した可能性が高い。しかし、ポジション調整のピークは過ぎたのではないか。12月6日にはOPEC定例総会(ウィーン)が予定されている。原油価格を安定させるための総会となるのではないか
米10年国債先物のポジション動向
- 投機筋の米10年国債先物の売り越しポジションは9月最終週の75.6万枚から11月13日時点の33.3万枚と約56%も減少した。投機筋は国債先物売り(金利上昇要因)ポジションを急ピッチで買戻している(金利低下要因)わけだ。投機筋のポジション調整を受けて米長期金利は10月9日の3.26%から11月に入り3.03%まで急低下した
- 投機筋のショートカバーの背景は以下の要素が考えられる
- 米FRB高官のハト派的発言
- IMFやOECDなど世界的調査機関による世界経済見通しの下方修正
- 米中貿易戦争による世界経済の先行きリスク
- インフレ率と相関性のある原油先物価格の暴落
- トランプ米大統領の米FRBの金融政策に対するネガティブ発言など
(データの出所)米商品先物取引委員会(CFTC)
11月27日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:21,952円 (前日比+140円)
- TOPIX:1,644ポイント(前日比+11)
相場のポイント
- 27日の東京株式市場は3日続伸、日経平均は前日比140円高い21,952円で引けた。前日のニューヨーク市場でダウ平均が大幅上昇し、日本株にも海外投資家の心理改善を反映した買いが先行した
- 日経平均は一時約2週間ぶりに22,000円の大台に乗せる場面があったが、米紙に対してトランプ米大統領が発動済みの2,000億ドル分の対中制裁関税について関税率を予定通り現在の10%から25%に引き上げる公算が大きいと語ったと伝わると上値は伸び悩んだ
- 東証1部の銘柄騰落数は値上がりが1,509、値下がりが526と買いが優勢だった。業種別では保険、鉱業、海運、通信などが買われ、医薬品や、水産農林、陸運、電気ガスといった内需ディフェンシブ系が安い
- 売買代金上位銘柄で値を上げたのはソフトバンクG、任天堂、トヨタ、MUFG、ソニ-など。中国大手ネット企業とスマホ決済サービスで提携すると報じられたLINEの人気が目立った
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.35倍(前日13.36倍)
- 東証1部売買代金:23,149億円
- 東証1部年初来高値銘柄数25 /年初来安値銘柄数31
- 東証1部値上がり銘柄数1,509 /値下がり銘柄数526
- 東証1部騰落レシオ:92.19(前日90.19
- TOPIX33業種
上昇上位:保険、鉱業、海運、通信、金属製品など
下落上位:医薬品、水産農林、繊維製品、陸運など
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:ソフトバンクG(+36円)、KDDI(+11円)、東エレク(+10円)など
下落寄与度:塩野義(‐14円)、ファーストリテイ(‐12円)、アステラス薬(‐6円)など
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