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2018年11月22日
【21日のダウ平均はほぼ横ばい、ナスダック総合は63ポイント高】(11月22日配信)
マーケットコメント 2018年11月22日
【21日のダウ平均はほぼ横ばい、ナスダック総合は63ポイント高】
11月21日(水)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 21日の米株式市場で主要3指数はまちまち、ニューヨークダウは前日比95セント安の24,464ドルで終えた。ダウは反発して取引を開始、週初から900ドル強下げていたため、短期的な戻りを見込む買いが先行した。ただし、感謝祭の休日を前に徐々に上げ幅を縮小、ダウは前日並みで引けた
- ダウ平均は20日に年初来の騰落率がマイナスに転じた。値ごろ感から買いが入る一方、米中貿易交渉の不透明感や世界景気の減速懸念は根強く相場の方向感を探るムードは続いている。投資家の不安心理を測る米VIX指数は20を上回っている
- ダウ平均銘柄ではマイクロソフト、キャタピラー、ディズニーの上昇が目立つ。前日に約1年1カ月ぶりの安値をつけた米原油先物相場が持ち直しており、石油のシェブロンやエクソンモービルにも買いが入った。一方、製薬のファイザーや日用品・医薬品のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)などが下げている
- 前日に大幅下落したアップルなどハイテク株が総じて上昇した。前日に約7カ月ぶりの安値で終えたナスダック総合株価指数は同63ポイント高の6,972で終えた。フェイスブックが大幅に上昇、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が兼務する会長職を辞任するとの観測を否定し、経営の不透明感が後退した。エヌビディアやマイクロン・テクノロジーなど半導体株も高い
米長期金利
- 10年国債利回り:3.06%(前日3.06%)
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=113.00-113.10円(前日112.72-112.73円)と113円台の水準に回復
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:24,464ドル(前日比-0.95ドル)
- S&P500種株価指数:2,649ポイント(前日比+8)
- ナスダック総合株価指数:6,972ポイント(前日比+63)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,179ポイント(前日1,174ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):20.8(前日22.48)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:エネルギー、コミュニケーション、一般消費財など
- 下落:公益、生活必需品、ヘルスケアなど
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:キャタピラー、マイクロソフト、シェブロンなど
- 下落寄与:ジョンソンエンドジョンソン、ユナイテッドヘルス・グループ、JPモルガン・チェースなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=54.63ドル(前日比ドル+1.2)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,228ドル(前日比+6ドル)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
金融市場に影響したと思われる材料
【米経済指標はまちまち】
- 米ミシガン大学11月の消費者態度指数は97.5で前月から1.1ポイント低下。2ヵ月連続の低下で速報値からは0.8ポイント低下。市場予想(98.2)をやや下回った
- 米コンファレンスボードが発表した10月の景気先行指数は112.1となり前月の改定値から0.1%上昇した。市場予想は「横ばい」だった。コンファレンスボードは「依然として19年初めの力強い経済成長は示唆しているが、急速な拡大がピークに達したようだ」と分析
- 米10月の中古住宅販売件数(季節調整済み、年率換算値)は522万戸と前月比1.4%増加。7ヵ月ぶりの増加で市場予想519万戸を上回った。販売価格は25万5,400ドルで前年同月比3.8%上昇
- 米商務省が21日発表した10月の耐久財受注額(季節調整済み、半導体を除く)は前月から4.4%減少した。前月分が大幅に下方修正されて0.1%減となったため、2カ月連続の減少となった。減少幅はダウ・ジョーンズまとめの市場予測(2.6%)より大きかった
【トランプ米大統領、原油価格低下でサウジに感謝とツィート】
- トランプ米大統領は21日、原油価格の低下について「米国と世界にとって大きな減税。サウジアラビアに感謝するが、さらに低くしよう」とツイッターに投稿した。トランプ氏は20日、サウジアラビア人記者カショギ氏の殺害にサウジ政府が関与したとされる事件に関し、同国政府を擁護する声明を出した。「サウジは原油価格を合理的な水準に安定させてほしいという私の要望に良く応えている」と協調関係を強調した→最近の原油価格の急落の背景には、これまで原油高をけん制してきた米トランプ大統領に配慮したサウジの増産が影響している可能性も
【OECDは19年の世界経済見通しをやや下方修正】
- OECDは21日、世界経済見通しを発表、2019年の実質GDP成長率は+3.5%と9月時点から0.2ポイント引き下げた。2018年(+3.7%成長)と比べて0.2ポイントの低下となる
- 米国は18年の+2.9%→19年は+2.7%成長に据え置いたが、ユーロ圏は18年+1.9%→19年+1.8%とそれぞれ0.1ポイントの下方修正、日本は同+0.9%→+1.0%とそれぞれ0.3ポイント、0.2ポイント下方修正された。中国は+6.6%→+6.3%とそれぞれ0.1ポイントの下方修正
- OECDは「先行き陰りが見え始めている」と強調。特に貿易摩擦を懸念しており、米中が互いに全輸入品に制裁関税をかけ、市場不安が広がる最悪のケースでは世界経済には0.8ポイントの下押し圧力がかかるとしている
当面のマーケットのポイント
【下値抵抗力を発揮する日経平均】
- 21日の日経平均は前日比75円安で引けた。寄り後すぐに下げ幅を一時300円超まで広げたが、その後は徐々に下げ幅を縮小し、引け間際にはプラス圏まであと28円まで迫った。本日の安値ベースで日経平均の予想PERはちょうど12.0倍とアベノミクス相場の期間中(2013年以降)の最低に低下した計算になり、押し目買いが入った模様
- ちなみに3日連続でローソク足が陽線(寄り付き値よりも大引け値が高い)となっており、後場にかけて買い直される状況が続いている。日銀は20日に続きインデックス型ETFを703億円買い入れた
- 本日は連休前で市場全体は小動きで推移する可能性が高い
【意外に堅調な上海総合指数】
- 上海総合指数は10月18日の2,486ポイントを安値に11月19日には2,703ポイントへ8.7%上昇した。最近、米中の貿易戦争が悪化しているイメージがあるが、株価は異なった動きをしている。20日に過去52週間の安値を更新したドイツ、フランスなど欧州株や日米株式式と比べても底堅い印象がある
- 中国政府の政策転換を市場は織り込み始めた可能性がある。21日の日経新聞では中国が国有企業や地方政府が抱えた巨額の債務削減を急ぎ過ぎた結果、2017年~18年10月にかけて「ざっと100兆円の信用収縮が起きた計算」とコメントしている。「影の銀行」の締め付けを強化した結果、民間企業の資金調達にしわ寄せが行き地方のインフラ投資が停止するなど景気に悪影響が出ている模様
- 当面、債務削減を柱とする構造改革を棚上げし景気重視の政策に転換する模様だ。債務削減を先送りし、金融緩和を強化し法人税と所得税の減税などが計画されている模様で、市場はこの点を評価している模様だ。中国リスクの後退は東京株式市場にプラスに働く可能性がある
11月21日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:21,507円 (前日比-75円)
- TOPIX:1,615ポイント(前日比-9)
相場のポイント
- 21日の東京株式市場は続落、日経平均は前日比75円安い21,507円で取引を終えた。東証一部の騰落銘柄数は上昇銘柄が596に対して下落銘柄数は1,431と売りが優勢
- 20日の米国株式市場でダウ平均が大幅安となったことや原油先物価格の下落を受け、朝方から売りが先行した。日経平均は寄り付き直後に下げ幅を300円以上に広げる場面があった。半導体関連や食料品などディフェンシブ株の一角に買いが入り徐々に下げ幅を縮小した。特に東エレクやアドバンテ、東京、京セラ、ソフトバンクといった最近の下落がきつかった銘柄が買い戻された模様
- ファーストリテイが大きく下落し、1銘柄で日経平均を30円引き下げた。下落はオリンパスや電通、武田、高島屋などが指数を押し下げた
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.31倍(前日13.28倍)
- 東証1部売買代金:24,105億円
- 東証1部年初来高値銘柄数9 /年初来安値銘柄数308
- 東証1部値上がり銘柄数596 /値下がり銘柄数1,431
- 東証1部騰落レシオ(25日移動平均):81.83(前日90.88)
- TOPIX33業種
上昇上位:電気機器、パルプ紙、食料品、化学、空運など
下落上位:鉱業、証券商品、卸売、海運、石油石炭など
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:東エレク(+26円)、ユニー・ファミマ(+9円)、京セラ(+7円)など
下落寄与度:ファーストリテイ(‐30円)、オリンパス(‐11円)、電通(‐6円)など
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