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2018年11月21日
【20日の米国株は続落、ダウは551ドル安、昨年末水準を下回る】(11月21日配信)
マーケットコメント 2018年11月21日
【20日の米国株は続落、ダウは551ドル安、昨年末水準を下回る】
11月20日(火)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 20日の米株式市場で主要3指数は大幅安、ニューヨークダウは前日比551ドル安の24,465ドルで終えた。10月29日以来ほぼ3週ぶりの安値で、年初来の騰落率は再びマイナスに転じた。世界経済の減速懸念などから投資家心理が冷え込み、ダウ平均の下げ幅は一時648ドル安に達した。週末の感謝祭の祝日を前に投資家が株式の持ち高の縮小を加速した可能性がある
- 新型「iphone(アイフォーン)」の販売不振への懸念が根強いアップル株への売りが続き、同社株は約5%下落。1銘柄でダウを60ドル引き下げた。米長期金利の低下による利ざや縮小の思惑からゴールドマン・サックス(GS)など金融株も下げた。アップルとGS、スリーエムなどダウ下落寄与上位5銘柄でダウを約200ドル引き下げている。原油先物相場の下落を嫌気し、エクソンモービル、シェブロンも2~3%下落。ダウ平均は構成する全30銘柄が下げた
- 投資家心理を測る指標とされる米VIX指数(恐怖指数)は22.48と前日比11%も上昇。ナスダック総合指数は同119ポイント(1.7%)安の6908と節目の7000を下回り、4月1日以来ほぼ7カ月半ぶりの安値で終えた
- 米債券市場では10年国債利回りが3.06%と前日比横ばい。ドル円相場は1ドル=112.70円台と前日比ドル高・円安の動き。今年1-2月に米長期金利上昇をきっかけとしたVIXショックでニューヨーク株安と急激なドル安・円高が発生したが、今回は米株価下落が進む一方、為替市場はほとんど影響を受けていない。リーマンショック後にほぼ一貫して買われてきたアップルなどFANG銘柄中心にバリュエーション調整(割高感の是正)が起きていると考えられる
米長期金利
- 10年国債利回り:3.06%(前日3.06%)
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=112.72-112.73円(前日112.50-112.51円)
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:24,465ドル(前日比-551ドル)
- S&P500種株価指数:2,641ポイント(前日比-48)
- ナスダック総合株価指数:6,908ポイント(前日比-119)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,174ポイント(前日1,173ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):22.48(前日20.10)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:なし
- 下落:エネルギー、一般消費財、情報技術、資本財・サービスなど
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:なし
- 下落寄与:アップル、ゴールドマン・サックス、スリーエム、ユナイテッドヘルス・グループなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=53.43ドル(前日比-3ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,221ドル(前日比-4ドル)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
金融市場に影響したと思われる材料
【米住宅着工件数は堅調】
- 米10月の住宅着工件数は122.8万戸(季節調整済み、年率換算値)と前月比1.5%増となった。2ヵ月ぶりの増加で市場予想の122万戸をやや上回った。前年同月比は2.9%減少。先行指標と言われる住宅許可件数は同0.6%減の126.3万戸と市場予想をやや上回った
【原油相場が急落】
- ニューヨーク市場でWT原油先物が反落、一時1バレル=53.43ドルと前月比6%超の急落となった。1年1ヵ月ぶりの安値。10月3日の約4年ぶりに付けた高値からの下落率は30%を超えた。供給過剰と世界の景気減速懸念による原油の需給緩和観測が背景にある模様。OPECは12月6日の総会で減産について協議する見通し→原油需要の減少が世界景気減速懸念を連想させ株式市場からの資金流出につながっている
当面のマーケットのポイント
【日経平均の価格ポイント】
- 20日のニューヨーク株式市場の大幅安を受け21日の東京市場は大幅続落が予想される。20日の日経平均は大幅反落となったが、取引時間中の安値は21,526円と21,500円台から切り返した。11月13日の安値21,484円を意識している模様。日銀はインデックス型ETFを703億円買い入れた。投資家の不安心理を示す米VIX指数が22.48と再び上昇しており、株式相場の価格変動率が高いことを示している。ニューヨーク市場ではアップルなど大手ハイテク関連が下落を主導しており、連動性が高い日本のハイテク関連株などの下落に注意が必要だ。下値のポイントとしては大台の21,000円や、10月26日の安値20,971円など
【日経平均の投資尺度】
- 先週までで9月中間決算発表が出揃った。日経平均採用銘柄では当期純利益が事前見通しと比べて下方修正された銘柄と上方修正された銘柄では若干上方修正銘柄が多く、3月決算銘柄以外も含めた日経平均ベースの予想EPSは1,780円程度まで切り上がった
- 利益水準は切り上がったが、投資家心理が冷え込んでおり20日時点の日経平均予想PERは12.2倍に低迷している。予想PERの低下の理由が内外に悪材料が山積していることから来る投資家の期待値の低下か、または先行きの業績の下方修正を織り込み始めているのか不明。しかし予想PERが2010年度以降の平均値(14.7倍)と比べて12倍台に低下している現状は、今期の利益見通しが変わらないと仮定すれば、株式市場が既に二ケタの減益を織り込んだ状況にあり、様々な悪材料を織り込んだ株価水準と見ることができる
【米中首脳会談への期待値は高くない】
- 米中の貿易問題に関しては政策担当者から閣僚級までのあらゆるレベルで協議が開始されるとの報道が相次ぎ、11月30日のG20における米中首脳会談で融和の糸口が見つかるかに注目が集まっている。しかし、市場には米中の覇権争いというテーマの大きさとトランプ大統領の破天荒な交渉術に鑑みれば、会談が終わるまで楽観視できないというムードが強い。事前協議の難航だけでなく、会談での物別れすら十分に想定できる。市場には期待感がまったく高まっていない分、現状から悪化しなければ材料出尽くしというシナリオもありうる
- 先週13日には李克強首相が貿易摩擦の悪影響を指摘したうえで米国とともに解決策を模索すると言及。輸出支援の人民元切り下げを否定する一方、人民元の安定化に注力すると改めて表明した
- 一方、報道によると米国からの通商改革要請142項目を受けた中国側の回答に関して、トランプ米大統領コメントとして、「非常に整っている。中国に追加関税を課す必要がなくなる可能性がある」と報道された。ただし「主要な4-5項目が漏れている」とも指摘した。先週末のAPECにおいて、ペンス米副大統領は中国の不公正な貿易慣行や南シナ海、人権問題について激しく中国を攻撃した。首脳会談に向けディールを重視するトランプ米大統領とペンス副大統領が役割を分担し、中国と決定的な対決を避けながら硬軟両様で中国側に譲歩を迫っているとの見方があるが、果たしてどうなるのだろうか
11月20日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:21,583円 (前日比-238円)
- TOPIX:1,625ポイント(前日比-11)
相場のポイント
- 20日の東京株式市場は反落、日経平均は前日比238円安い21,583円で取引を終えた。前日のニューヨーク市場でダウ平均が大幅に反落、アップルや半導体関連が下落したことで投資家心理が悪化、東京市場でも売りが優勢となった。上海総合やアジア株が下落したことなどを受け日経平均は一時300円近い下落となった。東証1部の騰落銘柄数は値上がりが734、値下がりが1,294と売りが優勢だった
- アップルと取引関係にあるTDKやアルプス、村田製など大手電子部品関連が下落、東エレクなど半導体関連の下げも目立った。米画像半導体大手エヌビディアが下落したことで任天堂や傘下の投資ファンドが出資するソフトバンクGの悪材料となった。ソフトバンクGは1銘柄で日経平均を49円引き下げた
- カルロス・ゴーン会長の逮捕が嫌気され日産自は5%超下落、売買代金は第1位と大商いだった。三菱自は6%あまり下落した。自動車関連はアナリストの投資判断の引き上げを受けたトヨタが買われ、ブリヂストンも高い。米長期金利の低下を受けて東電HDなど電力株やNTT、KDDIといった通信株に資金が向かった
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.28倍(前日13.33倍)
- 東証1部売買代金:23,369億円
- 東証1部年初来高値銘柄数18 /年初来安値銘柄数207
- 東証1部値上がり銘柄数734 /値下がり銘柄数1,294
- 東証1部騰落レシオ(25日移動平均)90.88:(前日93.64)
- TOPIX33業種
上昇上位:陸運、電気ガス、卸売、ゴム、倉庫運輸など11業種
下落上位:その他製品、石油・石炭、鉱業、サービスなど22業種
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:ユニー・ファミマ(+6円)、トヨタ(+3円)、JR東海(+2円)など
下落寄与度:ソフトバンクG(‐49円)、リクルートHD(‐20円)、ファーストリテイ(‐17円)など
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