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2018年11月16日
【米国株は大幅反発、ダウは200ドル高、米中摩擦の緩和期待が背景】(11月16日配信)
マーケットコメント2018年11月16日
【米国株は大幅反発、ダウは200ドル高、米中摩擦の緩和期待が背景】
11月15日(木)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 15日の米株式市場で主要3指数は5日ぶりの反発、ニューヨークダウは前日比208ドル高の25,289ドルで終えた。寄り付きは売りが先行していたが、米国が新たな対中関税の発動を留保するとの報道を受けキャタピラーやスリーエムなど中国依存度が高い銘柄が買われた。
- ダウは下げ幅が一時前日比290ドルまで拡大した後、午後には同270ドル高まで買われるなど荒っぽい展開だった
- S&P500種株価指数は前日比28ポイント・1.7%の上昇とダウの0.8%上昇を上回った。セクター別では情報技術が2.4%上昇。アナリストの投資判断が引き上げられたアップルが6日ぶりに反発。アップルの上昇が大型ハイテク株の買いにつながった。原油先物の上昇を受けエネルギーや素材が上昇した。予想を上回る決算を発表したウォルマートは材料出尽くしで下落となった
- ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、前日比122ポイント高の7259で終えた。投資家の不安心理を示す米VIX指数は19.98と20を下回った
米長期金利
- 10年国債利回り3.11%(前日3.12%)、やや低下
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=113.56-113.57円(前日113.57-113.58円)
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:25,289ドル(前日比+208ドル)
- S&P500種株価指数:2,730ポイント(前日比+28)
- ナスダック総合株価指数:7,259ポイント(前日比+122)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,234ポイント(前日1,194ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):19.98(前日21.25)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:情報技術、エネルギー、素材など
- 下落:不動産、公益、生活必需品など
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:スリーエム、アップル、キャタピラーなど
- 下落寄与:ボーイング、ウォルマート、ホームデポなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=56.46ドル(前日比+0.2ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,215ドル(前日比+4ドル)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
金融市場に影響したと思われる材料
- 新興国での利上げが相次ぐ。インドネシア中銀は15日、政策金利を0.25%引き上げ年6%とした。2会合ぶりの利上げで今年に入り6回目。フィリピン中銀は0.25%の利上げを実施。利上げは5会合連続。自国通貨の防衛やインフレ率の抑制が狙い。メキシコ中銀は政策金利を0.25%引き上げ年8.00とした。利上げは3会合ぶり。通貨安とインフレ率の抑制が狙いで政策金利の8%台は2009年1月以来。メキシコ中銀の声明ではメキシコシティ-空港の代替施設建設をロペスオブラドール時期大統領が10月に中止したことで、新政権に対して市場の不安の高まっていることが通貨安の原因の一つに挙げた→通貨防衛やインフレ抑制のための利上げは新興国経済の安定に不可欠な政策。しかし世界的な金利引き上げはリスク資産にはややネガティブ
- 米10月の小売売上高は前月比0.8%増と5カ月ぶりの大幅な増加となった。市場予想の同0.5%増を上回った。9月はハリケーン「フローレンス」の影響で減少していた自動車や燃料、建設資材が10月に入り販売が回復した。自動車ディーラー、ガソリンスタンド、建材などを除くコア売上高は同0.3%増と市場予想に届かなかった→米消費が拡大していることが確認された。11月後半からスタートする年末商戦に注目が集まる
- 世界最大の小売チェーン米ウォルマートの第3四半期(8-10月期)の米既存店売上高は前年比3.4%増とアナリスト予想の平均値同2.87%増を上回った。インターネットによる売上高は同43%増と第2四半期の同40%増を上回った→米個人消費の堅調を示している。同時に実店舗による対面販売からネットの販売にシフトしていることを示している
- 豪州の10月の就業者数は前月比3万2,800人増と9月の7,800人増から加速した。市場予想の2万人増を上回った。フルタイム就業者数が4万2,300人増加したことが寄与した。失業率は9月と同じ5.0%と2012年以来の低い水準を維持している→豪ドルの上昇材料となった
当面の東京マーケットのポイント・話題など
- 本日の東京市場は米国市場の上昇を受けて全体は反発が予想される。ただし、ニューヨーク市場の引け後に決算を発表した画像処理半導体大手のエヌビディアが通期の減収見通しを発表し株価が急落しているので日本の半導体関連に影響が出る可能性がある
【悪材料のオンパレード】
- 米中間選挙という一大イベントが終了したが市場には弱気が蔓延している。経験則的には弱気材料がこれだけ揃うのはそれだけ投資家が認識している(株価に織り込まれている)わけで、株式市場が底値圏にあることのサインでもある。悪材料を具体的に列挙してみよう
- 米中貿易戦争の激化と世界経済の低迷
- 中国経済の減速と人民元安懸念
- 英国のハードブレグジット懸念
- イタリアと欧州委の対立によるイタリア財政懸念
- 市場流動性の低下(中銀の量的緩和の巻き戻し)
- 米長期金利上昇懸念
- 米利上げと米FRBの資産正常化を受けたドル高で新興国からの顕著な資金流出懸念
- 原油市場の需給懸念
- サウジ問題など地政学的リスク
- 日本の企業収益見通しが慎重で、為替のプラス影響を除けば実体は予想以上に悪い?との懸念
【米CPIを受けて低下した米長期金利、ダブルトップ形成となるか】
- 米10年国債利回りは11月7日に3.2485%まで上昇し、10月5日に付けた3.2594%にほぼ並んだ。ダブルトップを形成しつつある。しかし、その後は緩やかに低下し、注目された10月の米CPI発表を受け15日は3.11%まで低下した。10月のコアCPIが前年比で市場予想より伸び率が落ち着いた内容となり過度なインフレ懸念が後退したことが背景だ。長期金利の二つのピークの真ん中のボトムは3.075%にあり、当面ここがポイントになる。仮に下回れ「ダブルトップ」の完成となり米長期金利上昇圧力は後退する可能性がある
【カリフォルニア州で発生している大規模な山火事と米エネルギー企業】
- 米カリフォルニア州では11月8日以降、大規模な複数の山火事が発生しており、甚大な被害が出ている。同州で電力・ガス事業を展開するPG&Eとエジソン・インターナショナルが保有する設備の不具合が出火の原因だった可能性があるとして、両社が規制当局の調査を受けていることが報じられている。両社は多額の損害賠償を求められる可能性がある。11月9日から14日にかけてPG&Eの株価は46.5%安、エジソン・インターナショナルの株価は22.4%安と急落している。PG&Eに至っては経営破綻の可能性が複数のメディアで報じられている
参照したサイト
11月15日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:21,803円 (前日比-42円)
- TOPIX:1,638ポイント(前日比-2)
相場のポイント
- 15日の東京株式市場は反落、日経平均は前日比42安の21,803円で取引を終えた。前日の米株式相場の下げを嫌気した売りが先行
- 日経平均は寄り付き直後に下げ幅を200円あまりに広げたが、その後は積極的に相場の下値を探る動きは限られた。中国・上海などアジア各国・地域の株価指数が堅調に推移したことを受け、株価指数先物に海外ヘッジファンドなどの買い戻しが入った。
- 14日の米市場でアップル株の下げが続き、スマートフォン「iPhone」の販売が鈍化するとの警戒が高まっている。東京市場ではアップルに部品を供給するTDKや太陽誘電といった関連株への売りが目立った。米長期金利の低下や規制緩和への期待後退に伴う米金融株安が嫌気され、銀行や保険などに売りが出たことも相場全体を下押しした。
- 下方修正を発表したスルガ銀行が悪材料出尽くしで大幅上昇。立会外での自己株取得が続いている東芝が商いを伴って大幅高となった。リクルートやファストリが上昇。資生堂や花王も高い。不動産や陸運、電力といった業種に物色が向かったことも相場を支えた。ソフトバンクやファナックなど値がさ株の一角が安い。三菱UFJや第一生命HDが大きく下落した
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.30倍(前日13.31倍)
- 東証1部売買代金:23,409億円
- 東証1部年初来高値銘柄数7 /年初来安値銘柄数154
- 東証1部値上がり銘柄数1,111 /値下がり銘柄数911
- 東証1部騰落レシオ:89.6(前日82.24)
- TOPIX33業種
上昇上位:ゴム、サービス、電気ガス、金属製品など16
下落上位:銀行、保険、パルプ紙、証券商品など17
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:リクルートHD(+17円)、ファーストリテイ(+11円)、資生堂(+7円)など
下落寄与度:ソフトバンクG(‐28円)、ファナック(‐13円)、ダイキン(‐11円)など
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