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2018年11月14日
【13日のダウは前日比100ドル安と3日続落、原油価格の急落が重荷】(11月14日配信)
マーケットコメント2018年11月14日
【13日のダウは前日比100ドル安と3日続落、原油価格の急落が重荷】
11月13日(火)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 13日の米株式市場でニューヨークダウは3日続落、前日比100ドル安の25,286ドルで終えた。原油相場が急落し投資家心理を弱気に傾けた。航空機のボーイングが大幅に下げ、相場下落を主導した。ダウ平均は前日に602ドル急落した反動で朝方は幅広い銘柄に買いが先行し上昇して始まったが、戻りは続かなかった。
- 米ニューヨーク原油先物相場が12日続落し、期近物は約1年ぶりの安値を付けた。世界景気の減速が原油需要を抑えるとの見方が一因で、株式市場でも投資家心理が冷え込んだ。シェブロンやエクソンモービルなど石油株が売られ、ダウ平均の重荷になった
- ボーイングが2%下げ、1銘柄でダウ平均を50ドルあまり押し下げた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が12日夜、最新の飛行制御システムの潜在的な危険性を航空会社などに周知していなかったと報じ、嫌気された
- ナスダック総合株価指数はほぼ横ばいで終えた。アップルにつれて前日に下げた反動で、大型のハイテク株が総じて堅調だった。アナリストが投資判断を引き上げたと伝わったエヌビディアが大幅に上げた。
米長期金利
- 10年国債利回り:3.14%(前日3.18%)と債券市場は買いが優勢で金利はやや低下
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=113.80-113.81円(前日113.83-113.84円)
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:25,286ドル(前日比-100ドル)
- S&P500種株価指数:2,722ポイント(前日比-4)
- ナスダック総合株価指数:7,200ポイント(前日比変わらず)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,190ポイント(前日1,174ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):20.02(前日20.45)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:金融、資本財・サービス、公益など
- 下落:エネルギー、ヘルスケア、生活必需品など
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:スリーエム、アメリカンエキスプレス、キャタピラーなど
- 下落寄与:ボーイング、ユナイテッドヘルス・グループ、アップルなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物1バレル=55.69ドル(前日比-4ドル)
- ニューヨーク金先物1トロイオンス=1,201ドル(前日比-2ドル)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
金融市場に影響したと思われる材料
- OPECは13日に月報を発表し、2019年の世界の原油需要は日量3,154万バレルと予想。OPEC加盟国が同量の生産を続け、他の条件が変わらなければ2019年は136万バレルの供給過剰になると予想した→13日の原油先物価格の下落に影響
- 全米自営業者連盟(NFIB)が13日発表した10月の米中小企業楽観度指数は前月比0.5%低下の107.4となった。8月の過去最高(108.8)から2カ月連続の低下で、市場予想(107.9)をやや下回った→10月の株価急落などマーケットの変調を受けたとみられる。転換点にあるのか今後も注視するべき
- 9月の香港の民間住宅価格指数(99年=100)は388.8と前月比5.7ポイント低下。2ヵ月連続の低下で住宅価格の上昇にブレーキがかかった。住宅ローンの申請件数は前月比56%減。米中貿易戦争による景気減速に加え、住宅ローン金利の上昇で住宅購入を手控える動きも。中国本土の潤沢な投資マネーの流入が「細り始めた」との指摘も→中国から香港への投資マネーの停滞を示唆
- 中国人民銀行によると10月の新規人民元建て融資は6,970億元と市場予想(8,620億元程度)を大幅に下回った。9月は1兆3,800億元だった。与信の伸びが鈍化していることから、中国経済が減速していることを示している
当面の東京株式市場のポイント
- 米ナスダック総合や半導体関連の下落を受け、東京市場は急落となった。先週、下落する一目均衡表基準線に上値を抑えられ、13日は下落する25日移動平均に戻りを抑えられた。引け値では転換線を下回った。今週のイベントを通過するまでマーケットの乱高下が続く可能性がある。日経平均は10月26日の取引時間中の安値(20,971円)を一番底と想定し、二番底を探っている状態と思われるが22,000円回復に時間がかかるようだと、一段安もあり得るので警戒したい
- 昨日、日銀はインデックス型ETFを703億円買い入れた。11月5日以来で今月は3回目の買い。当面不安定な相場が続けば買いが予想される
- 市場全体にリスクオフムードが広がっているが、唯一、ドル円相場の底堅さは注目される。東京時間の午後7時時点で1ドル=114円台を維持していた。年末に向けてのドル買い要因が多い。ドル円相場が安定していることは株式市場を支える材料となる
- 主なドル買い材料は以下の通り
- 米企業が海外に保有する資金を自国に戻すレパトリ。米商務省によると1-6月までに4,644億ドルの資金還流があり、年末に向けてさらに増える見込みという
- 例年、年末に向けてドル需要は拡大する傾向が強いことから需給ひっ迫となり、ドル高圧力に
- 2019年からバーゼル3基準となり、ドルの出し手の米銀はドルの貸し出しに積極的ではなくなる可能性がある
- 12月米FOMCでの利上げと米FRBのバランスシートの正常化が着実に進む
- 英国のメイ政権の閣僚の相次ぐ辞任で英国のEU離脱交渉が順調に進まず、時間切れになる「ハードブレグジット」となる場合、最終日である来年3月29日まで大混乱が予想。その間ン、ヘッジとして短期のドル調達需要が拡大する可能性
- 武田薬品のアイルランド製薬会社シャイヤー買収のための新株発行→資金調達→来年1月の買収完了位までに円売り・ポンド買いによる円安要因
- 本邦機関投資家によるオープン外債購入の活発化(ヘッジ外債購入比率の低下)
11月13日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:21,810円 (前日比-459円)
- TOPIX:ポイント1,638(前日-33)
相場のポイント
- 13日の東京株式市場は大幅反落、日経平均は前日比459円安の21,810円で取引を終えた。大型IPOの上場承認で需給悪化懸念が広がる中、12日の米国市場でダウ平均が前日比602ドル安と大幅続落となり、朝方から全面安の展開となった。
- ファーストリテイなど値がさ株が大きく下落したことで日経平均は下げ幅を一時785円まで広げたが、上海総合指数のプラス転換や日銀のETF買い入れが意識され後場に入り下げ幅を縮小した。東証33業種はすべて値下がり
- 米アップルのスマートフォン(スマホ)「iPhone」の販売が減速するとの懸念から、アップルに部品を供給する村田製やTDK、太陽誘電、アルプスなど電子部品株が軒並み急落した。ファナックやソニー、信越化、京セラなどハイテク全般に売りが広がった。10月の工作機械受注額が23カ月ぶりに前年同月比で減少し、SMCやオークマの工作機械やダイキン、日立建など機械全般に売られたことも相場全体の重荷となった
- 子会社の上場を発表したソフトバンクGが日経平均の最大の上昇寄与度の銘柄となり、NTTドコモ、KDDIといった通信がしっかり。資生堂やコーセーなど化粧品株がプラス。自社株買いを発表した東芝が4%を超える大幅上昇となった
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.31倍(前日13.32倍)
- 東証1部売買代金:28,253億円
- 東証1部年初来高値銘柄数7 /年初来安値銘柄数154
- 東証1部値上がり銘柄数230/値下がり銘柄数1,846
- 東証1部騰落レシオ84.79:(前日84.92)
- TOPIX33業種
上昇上位:なし
下落上位:保険、建設、鉱業、鉄鋼、石油石炭など33業種
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:ソフトバンクG(+18円)、ユニー・ファミマ(+5円)、資生堂(+2円)など
下落寄与度:ファナック(‐31円)、ファーストリテイ(‐25円)、TDK(‐22円)など
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