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2018年11月9日
【米国株は小幅に続伸、S&Pとナスダックは反落】(11月9日配信)
マーケットコメント
2018年11月9日 【米国株は小幅に続伸、S&Pとナスダックは反落】
11月8日(木)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 8日の米株式市場で主要3指数は高安まちまち。ニューヨークダウは前日比10ドル高の26,191ドルで終えた。前日に相場が大きく上昇した反動で、目先の利益を確定するための売りが優勢となった
- 午後に米FOMC結果公表を控え様子見姿勢が強まった。FOMCでは市場予想通り政策金利は据え置かれたが、緩やかな利上げ継続が示されたことで金利の先高感が強まり、全体の上値は重かった。ダウはFOMCの結果公表後に100ドル近く下落したが引けにかけてプラスに転じ4日続伸
- WTI原油先物価格は9日続落、前日比1ドル安の1バレル=60.67ドルで取引を終えた。一時は60.54ドルと期近物として3月半ば以来の安値を付けた。原油需給が緩んだ状態が長引くとの観測が強まり、売りが続いた。シェブロンやエクソンモービルなど石油関連がダウ引き下げ寄与の上位となった。
- 原油先物価格の下落で金融市場が予想する米期待インフレ率が低下すると米国の実質金利が上昇するためドル高要因となる。実際、この日は1ドル=114円台で推移していた
米長期金利
- 10年国債利回り:3.242%(前日3.23%)
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=113.99-114.00円(前日113.50-113.51円)
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:26,191ドル(前日比+10ドル)
- S&P500種株価指数:2,806ポイント(前日比-7)
- ナスダック総合株価指数:7,530ポイント(前日比-39)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,252ポイント(前日1,257ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):16.72(前日16.36)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:金融、不動産、一般消費財など
- 下落:エネルギー、コミュニケーション、素材など
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:スリーエム、ユナイテッドヘルス・グループ、マクドナルドなど
- 下落寄与:キャタピラー、ディズニー、エクソンモービル、シェブロンなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物
1バレル=60.67ドル(前日比-1ドル)
- ニューヨーク金先物
1トロイオンス=1,225ドル(前日比-3ドル)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
金融市場に影響したと思われる材料
- 8日に開催された米FOMCは金融政策の現状維持を決めた。声明文はさらなる利上げが正当化されると改めて言及し、12月の次期会合で追加利上げに踏み切る可能性を示唆した。住宅や設備投資の減速に言及した模様であるものの、「労働市場は引き続き力強さを増し、経済活動は力強く拡大、物価上昇率は全体、コアとも前年同月比ベースでは2%付近で推移している」とコメント
- 労働省が8日発表した3日までの週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比1,000件減の21.4万件だった。市場予想と一致した。失業保険受給者総数は45年ぶりの低水準を維持した。労働市場は引き続き好調な模様だ
- ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は8日、ユーロ圏の広範な景気拡大は継続するとの認識を示した。 総裁は当地で議員らに対し「一部セクターの指標や限られた調査の結果は予想よりも幾分弱めではあるが、入手可能な最新の情報はおおむね、域内やアイルランドの広範な景気拡大が継続する見通しを示す内容になっている」と述べた。また量的緩和(QE)策を年末までに終了するとともに、少なくとも来年夏にかけ金利を過去最低水準に据え置く方針を確認した
当面の東京株式市場のポイント
- 8日の東京株式市場は東証1部の1,733銘柄が上昇するなどほぼ全面高の展開となった。米中間選挙の速報が伝わった7日の日経平均は結局前日比マイナスで引けたが、ニューヨーク株式市場の強い反応を見て、8日東京市場では改めて今回の米中間選挙の結果を正しく反応したようだ
- 米中間選挙についてはほとんどの予想・調査機関が、議会の上院(共和党が過半数を維持)と下院(民主党が過半数奪還)のねじれを予想しており、2年前の米大統領選のように大逆転となることを恐れ、結果を確認するまで不安心理が解けなかった模様。8日のニューヨーク市場は予想通りの結果と、イベントが無事通過したことを素直に好感したと考えられる
- 日経平均(8日の大引けは22,486円)は、ようやく25日移動平均線(22,364円)と200日移動平均線(22,382円)を上回って引けた。それぞれ、一つは短期(過去1ヵ月間)の、もう一つは長期(200日間)の平均買いコストと捉えることができるため、この水準を超えていないと投資家心理が改善したとは言えない。二つの移動平均の方向は下向きにあり相場には下押し圧力がかかっている。日経平均が移動平均を一時的に超えても数日後にすぐに下回るようであれば相場回復の力が弱いと見做される。日経平均が移動平均の上方で推移し移動平均の方向自体が横ばいから上向きになって、初めて投資家は先高期待を持つが、現状はそこまで投資家心理は改善していないと思われる
- 今後の上値ポイントは一目均衡表の基準線(22,616円)、26週移動平均(22,638円)、13週移動平均線(22,773円)など重要な上値抵抗線があり、乗り越えていけるかがポイント
- 米中間選挙後の次の注目イベントは11月末のG-20会合中に行われるとみられる米中首脳会談。本年最後で最大級のリスクイベントとなる。しかし期待通り米中通商協議が進展するか注目される
- これに関連して注目される発言があった。中国の習近平国家主席の腹心である王岐山副主席は6日の講演で「世界経済は多くの問題に直面しており、米中の緊密な協力を必要としている」。また「中国は米国とお互いの懸念を協議し、相互に受け入れ可能な解決策に向けて協議する用意がある」とも強調し米中協議への進展に期待を示した。王氏は2008年秋のリーマンショックの際に米国債の大量購入を主導し、当時のポールソン財務長官と二人三脚で危機を乗り切った。年明け以降に2,000億ドル相当の中国製品への関税を10%から25%に引き上げる計画をトランプ政権が見直すかが一つの焦点ではないか。
11月8日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:22,486円 (前日比+401円)
- TOPIX:1,681ポイント(前日比+28)
相場のポイント
- 8日の東京株式市場は大幅反発、日経平均は前日比401円高の22,486円で取引を終えた
- 米中間選挙が市場予想通りとなった安心感から7日のニューヨーク株式市場が急伸し、日本株にも好感した買いが広がった。日経平均は前場に上げ幅を一時500円近くに拡大したが、徐々に戻り売りに押された
- トヨタ、ソニー、新日鉄住、ダイキンなど大型の輸出関連銘柄がしっかりの展開。任天堂が大幅に3日続伸し人気を集めた。ファーストリテイ、ユニー・ファミマ、ソフトバンクGなど値がさ株も大きく上昇し指数を押し上げた。出光興産、国際帝石など石油や総合商社も高い
- ファナック、安川電、キーエンスといったFA関連の一角が安い。午後に減益見通しの決算を発表したブリヂストンが安く、住友ゴムなども連れ安、業種別でゴムは唯一の値下がり
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.38倍(前日13.37倍)
- 東証1部売買代金:27,261億円
- 東証1部年初来高値銘柄数29 /年初来安値銘柄数17
- 東証1部値上がり銘柄数1,733 /値下がり銘柄数324
- 東証1部騰落レシオ83.75(前日74.99)
- TOPIX33業種
上昇上位:石油石炭、鉱業、その他製品など32業種
下落上位:ゴムのみ1業種
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:ダイキン(+31円)、ソフトバンクG(+27円)、ファーストリテイ(+23円)など
下落寄与度:ファナック(‐11円)、スズキ(‐4円)、ブリヂストン(‐3円)など
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