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2018年11月8日
【米国株大幅続伸、ダウ平均は前日比500ドル超上昇】(11月8日配信)
マーケットコメント
2018年11月8日 【米国株大幅続伸、ダウ平均は前日比500ドル超上昇】
11月7日(水)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 7日の米株式市場で主要3指数は大幅続伸、ニューヨークダウは前日比545ドル高の26,180ドルを回復して取引を終えた。ほぼ1ヵ月ぶりの高値となった
- 米中間選挙は市場予想通りに下院を民主党が奪還した。上院と下院のねじれ議会となり政治混乱の不安はあるものの、イベントを無事通過したことで不透明感が払しょくされ、買い安心感が広がった
- 議会のねじれで追加減税など財政拡張策の成立が困難となり長期金利に低下圧力がかかり、株価の追い風になるとの期待が強まった。株高をけん引したのは情報技術(IT)関連の主力銘柄。アマゾン・ドット・コムが6%超高、ネットフリックスは5.7%高、アルファベットが3.7%高まで上昇、アップルも2%超上昇した
- バイオ関連を含めた医薬品株も上昇。共和党と民主党の対立が深まれば薬価引き下げの法制化が進まないとの見方が影響した模様
- 米長期金利はほぼ横ばいで推移。ドル円相場は1ドル=112.98円と一時113円割れとなったが引けはドル高・円安傾向。投資家の不安心理を示す米VIX指数は16.36と前日比大きく低下した
米長期金利
- 10年国債利回り:3.23%(前日3.23%)
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=113.50-113.51円(前日113.40-113.41円)
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:26,180ドル(前日比+545ドル)
- S&P500種株価指数:2,813ポイント(前日比+58)
- ナスダック総合株価指数:7,570ポイント(前日比+194)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,257ポイント(前日1,242ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):16.36(前日19.91)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:一般消費財、ヘルスケア、情報技術、コミュニケーションなど
- 下落:なし
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:ユナイテッドヘルス・グループ、アップル、スリーエム、キャタピラーなど
- 下落寄与:P&G
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物
1バレル=61.67ドル(前日比-0.5ドル)
- ニューヨーク金先物
1トロイオンス=1,228ドル(前日比+2.4ドル)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
金融市場に影響したと思われる材料
- 米中間選挙は7日午前(日本時間8日未明)までの開票の結果、野党の民主党が8年ぶりに下院の過半数を奪回した。上院は与党・共和党が過半数を維持し、米議会は上院と下院で多数派が異なる「ねじれ議会」となった→当面の最大の不透明材料の払しょくでマーケットはリスクオンとなった
- 米住宅ローン申請指数(季節調整後)は316.2と前週の329.5から4%低下。新規購入ローン申請指数、借り換え購入ローン申請指数とも低下。30年住宅ローン金利平均(固定・手数料除く)は5.15%と前週の5.11%から上昇→金利上昇で米住宅市場には逆風が吹いており、今後経済にどの程度悪影響を与えるか注視する必要がある
- 中国の10月の外貨準備高は前月比339.3億ドル減の3兆530億ドルとなった。市場予想(270億ドル減)を上回る減少幅で、当局が元買い(ドル売り)の「介入」を強化した可能性がある→今月末のG20会合で米中首脳会談が開催される見込み。米国が神経質になる元安を容認しない当局の姿勢の現れか
当面の東京株式市場のポイント
【米中間選挙の結果を受けて】
- 米中間選挙は、下院は民主党が8年ぶりに過半数を奪還、上院は共和党が改選前から議席数を上積みして過半数を維持した。世論調査では一貫して下院は民主党、上院は共和党が優勢だったので結果にサプライズはない
- マーケットの結論として、為替は緩やかなドル高・円安傾向、株式相場は不透明材料の後退で徐々に回復傾向に入る、長期金利は来年に向けて緩やかな上昇が見込まれる
- 議会で上下両院の多数派がねじれることによる政策が進まないリスクが指摘されるが、戦後の米議会選挙の結果を見ると、大統領府、上院、下院の支配政党がすべて揃っていることのほうが珍しく、三極のうちどこか一つがねじれている状況はそれほど異常事態ではない。トランプ大統領の選挙公約の目玉である大型減税はすでに実施済みであり、今のところ米景気が腰折れするリスクは小さい
- 下院議長、下院の各委員長すべてが民主党議員に変更されるため、民主党の細かな嫌がらせが可能になる。トランプ大統領がイライラして暴言を吐くなど市場にネガティブな材料は今後も予想される。ただし、既に通過した法案は上院のハードルが高く、かつ大統領は拒否権を保有するため廃案にはならない。一方、新たな法案は通過しづらくなるので、追加減税の実現は難しくなった可能性がある。逆にみると財政赤字拡大懸念の緩和要因となり長期金利上昇のブレーキとなれば株式マーケットには必ずしもマイナスでない。
- 2020年の大統領選に向けて来年は共和・民主両党とも景気対策を重視する可能性は高く、インフラ投資は超党派で実現する可能性がある。財政的な余裕はないが追加関税の増収分は利用可能。株式市場にとっては追い風の環境となる
- 今回の選挙結果はFRBの金融政策には影響しないだろう。今後も米利上げ観測は後退せず、為替市場では緩やかなドル高・円安が続く可能性が高い
- 米中間選挙という最大の材料を消化したので次の市場の関心は11月末のG20会合における米中首脳会談に移る。中間選挙を終えたトランプ大統領の対中国通商政策のスタンスが、これまでと同様に厳しいのか、それとも交渉により落としどころが見えてくるのか、ヒントが得られる可能性がある
11月7日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:22,085円 (前日比-61円)
- TOPIX:1,652ポイント(前日比-6)
相場のポイント
- 7日の東京株式市場は反落、日経平均は前日比-61円安の22,085円で取引を終えた
- 朝方の日経平均は前日比41円高で取引を開始。米中間選挙の体勢判明を前に大きく振れる展開となった。前場は共和党が優勢と報じられ日経平均は一時300円近く上昇。後場に入り上院は共和党が、下院は民主党が過半数を各々獲得すると報じられると、日経平均はマイナスに沈んだ
- ダイフクやファナック、コマツといったFA・機械株は反落。米議会がいわゆるねじれの状態になると追加減税が難しくなることから、米長期金利の上昇が当面避けられるとの見方が広がり銀行株や保険株や下落。WTI原油先物の下落を受けて石油や非鉄金属といった資源関連が安く、三菱商や三井物など総合商社も見送られた
- 反面、ファーストリテイが3%を超す上昇で強い動きで日経平均を74円押し上げた。決算や自己株取得が好感されNTTが買いを集め、業種別で通信は値上がり1位
- 売買代金は3兆円を超えるなど幾分膨らんだ
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.37倍(前日13.35倍)
- 東証1部売買代金:31,154億円
- 東証1部年初来高値銘柄数16 /年初来安値銘柄数36
- 東証1部値上がり銘柄数939 /値下がり銘柄数1,095
- 東証1部騰落レシオ:74.99(前日75.77)
- TOPIX33業種
上昇上位:通信、不動産、その他製品など8業種
下落上位:石油石炭、鉱業、保険など25業種
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:ファーストリテイ(+74円)、信越化(+8円)、横河電(+6円)など
下落寄与度:ダイキン(‐27円)、京セラ(‐15円)、ファナック(‐12円)など
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