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2018年11月2日
【米国株3日続伸、ダウは264ドル高、米中協議の進展期待や好決算を好感】(11月2日配信)
マーケットコメント
2018年11月2日 【米国株3日続伸、ダウは264ドル高、米中協議の進展期待や好決算を好感】
11月1日(木)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 1日の米株式市場で主要3指数は3日続伸、ニューヨークダウは前日比264ドル高の25,380ドルで終えた。米中協議への進展期待や、朝方に発表した四半期決算発表で1株利益が市場予想を上回った化学のダウ・デュポンが8%の大幅上昇、ダウを押し上げた
- 米中首脳が貿易摩擦打開に向けて協議することで一致したと伝わり、投資家のリスク回避姿勢が後退した。建機のキャタピラーや航空機のボーイングなど中国依存度が高い銘柄が買われた。ボーイングはダウを55ドル、キャタピラーはダウを22ドル押し上げた
- インテルなど半導体関連も高く、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は4.6%の大幅上昇、ハイテク銘柄が多いナスダック総合は128ポイント(1.7%)の大幅高となった
- 投資家の不安心理を示す米VIX指数は19.34と10月22日以来の20割れ。
米長期金利
- 10年国債利回り:3.134%(前日3.149%)、米経済指標が市場予想を下回り債券に買いが入り国債利回りはやや低下
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=112.65-112.66円(前日112.92-112.93円)、米長期金利の低下を受けややドル安・円高で推移している
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:25,380ドル(前日比+264ドル)
- S&P500種株価指数:2,740ポイント(前日比+28)
- ナスダック総合株価指数:7,434ポイント(前日比+128)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,258ポイント(前日1,202ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):19.34(前日21.23)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:素材、一般消費財、資本材・サービスなど
- 下落:公益のみ
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:ボーイング、ホームデポ、ダウ・デュポンなど
- 下落寄与:マクドナルド、ベライゾン、マイクロソフトなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物
1バレル=63.69ドル(前日比‐1.6ドル)
- ニューヨーク金先物
1トロイオンス=1,238ドル(前日比+23ドル)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
金融市場に影響したと思われる材料
- トランプ米大統領は1日、中国の習近平国家主席との電話会議で貿易や北朝鮮について生産的な協議を行ったと明らかにした。一方、中国の国営メディアは1日、中国の習近平国家主席は世界2大国の米中首脳が安定的で健全な関係を促進することを望んでいると述べた、と伝えた。両首脳は今月開催される20カ国・地域(G20)首脳会合に合わせて会談を予定している→米株式市場の買い材料の一つとされた模様
- 10月の米ISM製造業景況指数は57.7と市場予想の59.0を下回り6カ月ぶりに低い水準となった。前回の59.8も下回った。新規受注は57.4と前回の61.8を下回り、雇用指数も56.8と同58.8から下振れ。これまで堅調に推移してきた米製造業の景況感指数だが、米中貿易戦争が製造業のセンチメントに影響を与え始めた可能性がある→米長期金利の低下材料となった模様。指標の悪化が一時的か、または転換点に来ていているのかわからないが、数ヵ月は注視する必要がある。
- 米7-9月期の労働生産性指数は前期比年率2.2%上昇し、4-6月期の同3.0%から伸び率が鈍化した。賃金指標である単位労働コストは市場予想を上回った→2日に米雇用統計の発表を控えていることから市場の反応は限定的だった
- 1日の引け後に発表された米アップルの決算は1株利益が市場予想を上回ったが、売上高見通しが市場予想を下回り、株価は時間外取引で5%超下落している
当面の東京株式市場のポイント
- NTTドコモの通信料金引き下げは、菅官房長官が「携帯電話の料金は4割程度下げる余地がある」と繰り返し料金の高さを批判してきたことに対して、業界最大手が一つの答えを出した形。消費者には歓迎されるが株式市場には打撃となる
- 大手通信会社の株式は株価指数寄与度が高いだけでなく、時価総額も大きく株価急落による大手運用会社のファンドへの影響は大きい。東証1部の時価総額は1位がトヨタ(21.4兆円)、2位がMUFG(9.4兆円)だが、3位にNTTドコモ(9.2兆円)、4位にソフトバンクG(9.1兆円)、KDDI(約6兆円)は11位にランクされる(11月1日時点)。19年4‐6月に2~4割の料金引き下げを発表したNTTドコモは、2019年度以降に営業減益を見込むが、株価がどの水準で下げ止まるかがポイント。ちなみに予想PERはNTTドコモが13倍、KDDIが9.1倍、ソフトバンクGは12.9倍(同)なっている
- 10月30日の東京市場では年金資金の買い観測が流れたが、経験則ではこうした局面で相場が一旦底入れすることが多い。年金資金のリバランス買いは、日経平均ベースで直近の四半期末の月中平均値(9月は23,159円)から500円超相場が下がると入り始め、2,000円超下落から買いが本格化する傾向がある。29日の引け値はこの水準に達していた
- 日銀のETF買い入れ回数が10月は12回と2015年6月、2016年6月に記録した月間の最多記録に並んだ。日銀は今年に入ってからETFを合計5.19兆円買い入れており、年間6兆円のペースを維持している模様。11月1日も715億円の買い入れが実施された
- 1日の米アップルの決算を受けて、同社株が時間外取引で下落しているため、本日の東京市場では関連銘柄や半導体関連には売り材料となる可能性がある。また本日は米雇用統計の発表を控えており、東京市場は午後に様子見ムードになる可能性がある
11月1日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:21,687円 (前日比-232円)
- TOPIX:1,632ポイント(前日比-14)
相場のポイント
- 1日の東京株式市場は3日ぶりの反落。日経平均は前日比232円安の21,687円で取引を終えた。寄り付きは小幅安で始まったが大手通信株の下落幅が拡大すると引けにかけて日経平均も下げ足を速めた
- 携帯電話業界最大手のNTTドコモが料金の引き下げを発表し、収益悪化への警戒から通信株が大幅安となり指数を押し下げた。NTTドコモ株は前日比15%近く下げ、ほぼ2年ぶりの安値を付けた。KDDIが16%下落しほぼ4年ぶりの安値、ソフトバンクGは8%下げて売買代金はトップとなった。
- 東証1部の値下がり銘柄数は1108もあるが、値上がり銘柄数も937もある。日経平均の下落寄与度上位をみるとKDDI(‐101円)、ソフトバンクG(‐82円)の大手通信2社に日東電、業績を下方修正した東エレク、アステラス薬の下落寄与上位5銘柄で日経平均を274円引き下げている。指数寄与度の大きい銘柄の下落が大きかったことが本日の相場の特徴と言える
- 一方、村田製、ソニー、任天堂、TDKなど業績が好調な銘柄は買われ、国内で生産した高品質の化粧品の対中輸出を強化すると報じられた資生堂は3%を超す上昇となった。半導体関連は東エレクが安く、アドテストとキャノンが上昇するなど明暗を分けた
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.29倍(前日13.32倍)
- 東証1部売買代金:3兆2,704億円
- 東証1部年初来高値銘柄数13 /年初来安値銘柄数73
- 東証1部値上がり銘柄数937 /値下がり銘柄数1,108
- 東証1部騰落レシオ70.97:(前日71.80)
- TOPIX33業種
上昇上位:保険、不動産、倉庫運輸など13業種
下落上位:通信、金属製品、石油石炭など20業種
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:ファーストリテイ(+35円)、TDK(+26円)、コナミHD(+13円)など
下落寄与度:KDDI(‐101円)、ソフトバンクG(‐82円)、日東電(‐37円)など
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