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マーケットコメント
2018年10月29日 【米国株式市場は大幅反落、NYダウは一時500ドル超の下落】
(本日は後半部分に「主要国の株価指数:2017年12月末との比較、%」を掲載しています)
10月26日(金)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 26日の米株式市場で主要3指数は大幅に反落、ニューヨークダウは前日比296ドル安で終えた。アマゾン・ドット・コムの下落が主要ハイテク銘柄に波及しダウは一時下げ幅が500ドルを超えた
- 前日の引け後にアマゾンが発表した7‐9月期決算が市場の予想に届かず大幅下落、アップルなどやアルファベットなども下落し投資家心理が悪化した
- アマゾンは一時8%下落、アルファベットは一時5%下落し、ナスダック総合の前日比下落率は同2.1%下落とダウの1.1%下落を上回った。一方、前日に好決算を発表したインテルは3%超続伸しダウを支えた
- 米国の7-9月期実質GDP成長率が好内容だったが反応できなかった
- 米長期金利は一時3.05%に低下(国債価格は上昇)し、10月3日以来約3週間ぶりに低い水準となった。米株価下落を受け運用リスク回避の動きが強まり米国債への買いが強まった
米長期金利
- 10年国債利回り:3.07%(前日3.11%)
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=111.85‐95円(前日112.35‐45円)、112円を割り込んだ
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:24,688ドル(前日比‐296ドル)
- S&P500種株価指数:2,658ポイント(前日比‐46)
- ナスダック総合株価指数:7,167ポイント(前日比‐151)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,153ポイント(前日1,173ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):24.16(前日24.22)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:なし
- 下落:一般消費財、不動産、コミュニケーション、情報技術など
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:インテル、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス、メルクなど
- 下落寄与:ホームデポ、ユナイテッドヘルス・グループ、ボーイング、アップルなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物
1バレル=67.59ドル(前日比+0.2ドル)
- ニューヨーク金先物
1トロイオンス=1,235ドル(前日比+3.4ドル)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
当面の東京株式市場のポイント
- 先週の東京市場は日経平均が乱高下しながら一段と下げが加速する展開となった。日経平均は節目とみられた200日移動平均や、26週移動平均線など長期移動平均を下回ったところで見切り売りが加速したとみられる
- 今週は週初に先週金曜日の米国株式市場の下落分を織り込んだ後は押し目買いが入る可能性があるものの、週末に米雇用統計を控え様子見ムードが広がる可能性がある。25日移動平均線との下方かい離が8%を超え、2月の一番底と同水準となり一時的に買戻しが入りやすい。株価収益率が12.3倍に低下しており、割安感も台頭しつつある
- 米VIX指数は24.16、日経平均VIも28.1と依然として高く、株価が不安定な状況は継続すると見ざるを得ない。一旦下げ止まっても株価のリバウンドは限られそうだ。
- 日経平均の下値のポイントは2016年6月の英Brexit後の安値から、今年の高値までの上昇幅のフィボナッチ指数38.2%押しの20,786円、3月に付けた年初来安値20,617円などが意識されそうだ。20,500~21,000円の水準で値を固められるかが今週のポイントだろう
- 株式需給的には直近2週間連続で合計2.9兆円(現物と先物の合計)も売り越した海外投資家の売りが止まるかがカギ。今回の世界的な株価下落の背景はゴルディロックス(適温経済)下で拡大した低ボラティリティ戦略のポジション(米国債買い・米国株式買い・VIX指数先物売り)が、米長期金利上昇をきっかけにして一気に解消されたことが主因と考えられる。2月のVIXショックと構図は全く同じとみている。米VIX指数売り越しポジションの買戻しはかなり進んだが、調整が完了したかどうかはまだ確認できない
- 今週の注目指標は29日の米9月個人消費支出(PCE)物価指数、11月1日の米10月ISM製造業景況指数、2日の米10月雇用統計の非農業部門雇用者増加数と平均時給。非農業部門雇用者増加数の市場予想は、ハリケーンの影響で増加が鈍化した9月の反動で前月比19万人増と高い増加、平均時給は前年同月比3.2%と3%台の上昇が見込まれている。賃金上昇圧力が高いと米長期金利に影響するので為替と株式市場の注目材料
- 最近のドル円相場は株安にもかかわらず堅調に推移している。米国のインフレ率が安定していることから、米名目長期金利から米インフレ率を差し引いた米実質長期金利が海外と比べて高く、ドルの投資魅力が高いことが背景と考えられる。しかし、週末の米雇用統計の平均時給上昇率が高いとインフレ率に上昇圧力がかかり、先行きの米実質金利の低下材料と受け止められるため、円高に警戒しなければならない
10月26日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:21,184円 (前日比‐84円)
- TOPIX:1,596ポイント(前日比‐4)
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.27倍(前日13.29倍)
- 東証1部売買代金:3兆1,857億円
- 東証1部年初来高値銘柄数4 /年初来安値銘柄数805
- 東証1部値上がり銘柄数554 /値下がり銘柄数1,502
- 東証1部騰落レシオ:73.83(前日81.37)
- TOPIX33業種
上昇上位:パルプ紙、輸送機器、ゴムなど
下落上位:サービス、精密、その他製品など
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:ファーストリテイ(+41円)、スズキ(+6円)、信越化(+6円)など
下落寄与度:ソフトバンクG(‐19円)、リクルートHD(‐16円)、ファナック(‐14円)など
主要国の株価指数(2017年12月末との比較、%)
- 主要国の代表的な株価指数の年初来騰落率を8月末、9月末、10月25日時点で比較した
- 米国の株価指数の年初来上昇率は9月末が最高で、ナスダック総合のみ8月末が最高。ナスダック総合の調整はかなり進展したように見える
- 日本は9月末の日経平均とTOPIXの格差が目立つが、10月末はTOPIXのマイナスが目立つ。海外投資家が日本の大型株に売りを出したことが背景
- ハンセン指数は中国のネット関連銘柄の下落が大きく10月に急落、上海総合は10月25日時点で2割を超すマイナスと最大
- 総括すると、9月末時点の「米国一強」の状態は是正されたが、米国株の下落に影響を受けた欧州・日本・アジア株式市場も一段安となった。米中間選挙をはさんで米国株が調整完了となれば欧州・日本・アジア株も下げ止まる可能性がある。しかし米国株がもう一段調整となれば他市場も影響を受けざるを得ない
8月末 9月末 10月25日
日経平均 +0.4 +5.9 ‐6.5
TOPIX ‐4.5 ‐0.0 -11.9
NYダウ30種 +5.0 +7.0 +1.1
S&P500種 +8.5 +9.0 +1.2
ナスダック総合+17.4 +16.5 +6.0
FT100(英) ‐3.3 ‐2.3 ‐8.8
DAX指数(独) ‐4.3 ‐5.2 ‐12.4
ハンセン指数 ‐6.7 ‐7.1 ‐16.4
上海総合 ‐17.6 ‐14.7 ‐21.2
センセックス指数+13.4 +6.3 ‐1.1
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