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マーケットコメント
2018年10月26日 【米国株が大幅反発、ダウ平均は一時520ドル高、好決算銘柄がけん引】
10月25日(木)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 25日の米株式市場で主要3指数は大幅に反発、ニューヨークダウは前日比401ドル高の24,984ドルで終えた。投資家心理の改善を背景にダウは一時520ドル高まで買われる場面があった
- ダウは24日に前日比608ドル下落した反動で押し目狙いの買い意欲が強まる中、好決算を発表した銘柄やハイテク株中心に買いが膨らんだ
- マイクロソフトやツイッターなど市場予想を上回る決算発表が相次いだほか、決算発表を控えたアマゾン・ドット・コムなどが大幅高となった。米耐久財受注統計で軍用機・同部品の受注の増加を好感したボーイングがダウを61ドル押し上げた
- ハイテク中心のナスダックは前日比209ポイントと大幅反発。アルファベット、アップルなど主力の大型ハイテク銘柄がけん引。S&P500種総合は7日ぶりに反発、業種別では公益を除く10業種が上昇した
- 投資家心理を示す米VIX指数は24.22(前日25.23)と依然として高く、米株式は引き続き乱高下することを示唆している
米長期金利
- 10年国債利回り:3.11%(前日3.111%)
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=112.35‐45円(前日112.23‐24円)、相変わらずドルが底堅い印象がある
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:24,984ドル(前日比:+401ドル)
- S&P500種株価指数:2,705ポイント(前日比+49)
- ナスダック総合株価指数:7,318ポイント(前日比+209)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,173ポイント(前日1,146ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):24.22(前日25.23)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:一般消費財、情報技術、コミュニケーションなど
- 下落:公益事業のみ
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:ボーイング、ユナイテッドヘルス・グループ、ビザ、アップルなど
- 下落寄与:マクドナルド、ベライゾンコミュニケーション、IBMなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物
1バレル=67.33ドル(前日比+0.5ドル)
- ニューヨーク金先物
1トロイオンス=1,232ドル(前日比+1.3ドル)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
金融市場に影響したと思われる材料
- クラリダ米FRB副議長は25日、米国の株価下落が続いた場合、金融政策の議論に含む必要が出てくるとの見解を示した。また「19年に入って物価が安定したままならば想定以上の利上げには反対する」と述べた。同副議長は就任後初の発言で「ハト派」の姿勢をにじませた→米市場が混乱しているので一定の配慮を示した格好で、25日の株式市場の安心材料となった
- ECBは25日に開いた理事会で政策金利の据え置きを決定。経済成長率見通しが悪化したと認める一方、予定通り年内の量的緩和政策(QE)を終了する方針を確認し、来年夏場以降の利上げにも引き続き含みを残した→景気の減速は認めながらも政策シナリオは変えないスタンスを示したことでユーロ相場の一定のサポート材料に
- 米企業の好決算発表が相次ぐ→最近の過度に悲観的な投資家心理の改善に寄与
ツイッターの第3四半期は広告収入増で収益が予想を上回った
マイクロソフトの7‐9月期は市場予想を上回る増収増益決算
米大手製薬のメルクとブリストル・マイヤーズ・スクイブ、第3四半期の利益が市場予想を上回った。両社とも通年の利益見通しも引き上げた
- 9月の米耐久財受注(季調済み、半導体を除く)は前月の改定値から0.8%増加、市場予想(1.7%減)に反して増加した。軍用機・同部品が同119%増と全体を押し上げた→ボーイングの買い材料となった可能性
当面の東京株式市場のポイント~米国株式急落を受けて~
- 24日の米国株式の大幅続落を受けて25日の東京市場では日経平均が前日比822円安の21,268円と大幅反落となった。TOPIXはすでに年初来安値を更新しているが、日経平均はまだ安値更新とはなっていない。しかし今後のニューヨーク株式市場の動向次第では、海外投資家の売りが拡大すると予想されるため、3月につけた年初来安値(20,671円)を下回る可能性も否定できない。米国株、特にハイテク株が下げ止まることが日本株底入れの条件
- 米国株の下落の背景には業績懸念がある。10月初旬に一部の企業から業績警告が相次いだことから米企業業績に対する強い確信が揺らぎつつあった。しかし24日時点でS&P500種ベース全体の増益率を下方修正させるほどには至っていない。一方、株価が急落しているためS&P500種の予想PERは昨年12月の18倍超から足元では15倍台前半まで下落しており、これ以上の下落は明らかに売られすぎの水準に入ってくる
- 米企業は習慣的に決算発表前の5週間程度は自社株買いの禁止期間(ブラックアウト)となっており、買いの需要が低下する。最近の米株価の下落は業績懸念で売りたい投資家が多い反面、買い需要が少ないという極端に株式需給が悪い中で起きている可能性がある。決算発表が終了する10月末以降はかなりの企業が自社株買いの再開が可能となるため、実施する企業が増えれば需給の改善が期待できる。今回の下落局面ではハイテクや情報技術などIT関連が下落を主導したが、自社株買い余力の高い企業は十分な余裕資金を有する情報技術セクタ-に多い。自社株買いが再開した場合はナスダック総合指数の回復が予想される
- 投資家の不安心理を示す米VIX指数が20を超えている間は相場の安定は難しい。アップダウンの激しい相場が続くことが想定される。決算発表が一巡したところで落ち着きどころを探す展開が続くと想定される。米企業の自社株買い再開と、投票日まで2週間を切った米中間選挙前の11月上旬頃までに落ち着くかどうか
- 日経平均は10月2日に27年ぶりの高値を付けてから、25日までに約3,000円の大幅な下落となった。さすがにテクニカル的な底入れを示唆する指標が出てきた。25日移動平均線かい離率は‐8.4%と売られ過ぎの水準に来ている。一定期間の過去の高値と安値に対して現在がどの位置にあるかを示すストキャスティクスはFastが6.7%、Slowが14.4%まで低下してきた。値上がり銘柄数と値下がり銘柄のバランスである騰落レシオ(25日平均値)は81%と一時の過熱感は解消した
- 海外投資家は10月第3週に現物で2,120億円の売り越し、株価指数先物を含めると1兆1,000億円を超える売り越しとなった。2週連続で1兆円を超える大幅売り越し。日本株に対する楽観姿勢がやや修正されつつある
参照したサイト(JPXホームページ)
現物株投資部門別売買
株価指数先物投資部門別売買
10月25日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:21,268円 (前日比‐822円)
- TOPIX:1,600ポイント(前日比‐51)
相場のポイント
- 25日の東京株式市場は大幅に反落、日経平均は前日比822円安の21,268円で取引を終えた。3月29日以来ほぼ7カ月ぶりの安値水準となった
- 前日の米国株式市場でハイテク株中心のナスダック総合が4%以上下落、ニューヨークダウ、S&P500種も2%以上下落したことで東京市場でもリスクを回避する売りが急増した。
- 決算発表を控え買いが手控えられているなかで売りが増えたため大きな値幅となった面もある。東証1部の売買代金は2兆9,800億円と前日(2兆7,000億円)からは増加したが、3兆円には届かなかった
- 東証1部の値下がり銘柄数は2,072銘柄、値上がり銘柄はわずか34銘柄。米半導体関連の下落を受け東エレクやアドバンテ、ディスコなど半導体関連が売られた。ソフトバンク、ソニー、任天堂など海外投資家の保有比率が高い銘柄がそろって4~5%も下落し投資家心理を悪化させた。ファーストリテイは1銘柄で日経平均を104円引き下げた。米長期金利の低下を受けメガバンクや生保など金融も安い
- 日銀は25日、ETFを715億円買い入れた。4日連続の買い入れで10月は11回目
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.29倍(前日13.37倍)
- 東証1部売買代金:2兆9,813億円
- 東証1部年初来高値銘柄数3/年初来安値銘柄数802
- 東証1部値上がり銘柄数34/値下がり銘柄数2,072
- 東証1部騰落レシオ:81.37(前日93.54 )
- TOPIX33業種
上昇上位:なし
下落上位:サービス、ガラス土石、その他製品、医薬品など
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:パナソニック、東ガスのみ
下落寄与度:ファーストリテイ(‐104円)、ソフトバンクG(‐45円)、ファナック(‐28円)など
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