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マーケットコメント
2018年10月24日 【一部企業の決算の失望売りでダウは125ドル安、一時500ドル超下落するも終盤にかけて徐々にマイナス幅を縮小】
10月23日(火)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 23日の米国株式市場でダウ平均は主要銘柄の決算発表を受け前日比125ドル安で引けた。ダウは下げ幅を一時500ドル超に広げたが徐々にマイナス幅を縮小した
- 朝方発表の決算をきっかけに売りが先行した建機のキャタピラーが最大10%の下落、工業用品・事務用品のスリーエムも下げ幅を拡大し一時8%以上も下落し、ダウを押し下げた。半面、既存店売上高が市場予想を上回ったマクドナルドが大幅高となりダウを支えた
- 投資家の不安心理を示す米VIX指数は一時24台まで上昇しており、これを受けた株式売りが増えた。下落率はダウの-0.5%に対してナスダック総合は‐0.4%だった
- 株式市場の下落を受け米債券市場では国債が買われ(金利低下)、長期金利は一時3.11%に低下、利ざやの縮小を懸念した金融株も下落した。原油先物価格の下落を受けシェブロンなど石油株も安い
米長期金利
- 10年国債利回り:3.16%(前日3.19%)
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=112.40‐50円(前日112.80‐90円)、やや円高・ドル安
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:25,191ドル(前日比‐125ドル)
- S&P500種株価指数:2,740ポイント(前日比‐15)
- ナスダック総合株価指数:7,437ポイント(前日比‐31)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,227ポイント(前日1,234ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):20.71(前日19.64)、再び20台に乗せ株価の乱高下が続くことを示唆
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:不動産、生活必需品、コミュニケーションなど
- 下落:エネルギー、資本財サービス、素材など
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:マクドナルド、ユナイテッド・テクノロジーズ、ユナイテッドヘルス・グループなど
- 下落寄与:キャタピラー、スリーエム、ボーイングなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物
1バレル=66.43ドル(前日比‐2ドル)
この日から12月物に限月交代。サウジが22日に増産を示唆したことと、世界的な株安で景気減速が意識され原油の悪材料に
- ニューヨーク金先物
1トロイオンス=1,236ドル(前日比+12ドル)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
金融市場に影響したと思われる材料
- 欧州委員会は23日、イタリアの2019年度予算案を拒否した。3週間以内の再提出を求め、新たな案を示さなければ処分へ。これに対してイタリアは予算案の修正を拒否するなどEUとの対立が激化→イタリアの財政懸念で同国の長期金利上昇、ドイツの長期金利低下の材料、また欧州株大幅下落の材料
- 英国の製造業受注、8-10月はマイナス6と15年8-10月以来の最低。5-7月のプラス15から大幅悪化。ブレグジット懸念が打撃か→ポンド下落要因
- 米キャタピラーの7-9月期決算で通期予想を据え置き、鉄鋼の追加関税の影響で材料コストが利益を圧迫していると懸念された→株価は7.5%下落しダウを65ドル引き下げた
- 米スリーエムの7-9月期決算で売上高と1株利益が市場予想を下回り、12月期通期の1株利益も市場予想以下に下方修正→株価は4.3%下落しダウを59ドル引き下げた
- 米マクドナルドの7-9月期決算で世界の既存店売上高が市場予想を上回った。海外が好調で米国の鈍化を補う→株価は6%以上上昇しNYダウを71ドル押し上げた
当面の東京株式市場のポイント
- 23日の東京市場は大きく下落した。ニューヨークダウ先物が午後から150ドル程度下落していたが、決め手となった悪材料が見当たらない。朝方から日経平均は前日比200円超下げるなど弱い印象があったが、為替相場も112円台半ばまでの円高にとどまり、リスク回避の株式売りとなったわけではない
- 考えられるのは業績への懸念が一部に台頭している可能性があること。アナリストの業績見通しが、上方修正された銘柄から下方修正された銘柄を差し引いた「リビジョン・インデックス」が最近に緩やかに低下している。中国向け売上高の減速などで一部の銘柄の業績予想をアナリストが下方修正している銘柄の数が徐々に増えている。本日の日電産の決算発表を皮切りに世界的なメーカーの業績が判明することから、内外投資家が事前にポジションを落としている可能性がある
- また「リスク・パリティ・モデル」と呼ぶ株式や債券の価格変動率の大きさに着目して投資戦略を組むヘッジファンドが増えているが、株式のボラティリティが上昇するとリスクを減らすために株式のポジションを機械的に落とさざるを得ない。23日はこうした売りが広がった可能性がある
- 23日の下落で日経平均の予想PERは12.7倍まで低下した。2013年6月から2018年5月までのアベノミクス相場の期間(1,303日間)で、予想PERが13.0倍以下で終了した日は全体の5%(66日)しかない。逆に言うと残りの95%は13倍超で取引されていたわけで、13倍を下回るPERは割安感を感じる水準。ちなみに主要国の予想PERは米S&P500種が16.9倍、英国が12.3倍、ドイツが11.8倍、世界平均は14.6倍(いずれも10月18日時点)
- JPX日本取引所グループが23日発表した2市場の信用買い残は前週比1,104億円の増加となった。3週連続増で計3,884億円の大幅増加。個人の信用買いは下落局面で押し目買いを積極化している
参照したサイト(JPXのホームページ)
https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/margin/tvdivq0000001rhv-att/mtgaisan2018101900.pdf
- 日銀は23日もインデックス型ETFを703億円買い入れた。前日に続き2日連続の買いで引き続き相場のサポート役。
10月23日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:22,010円 (前日比‐604円)
- TOPIX:1,650ポイント(前日比‐44)
相場のポイント
- 23日の東京株式市場は大幅反落、日経平均は前日比604円安の22,010円で取引を終えた。一時2カ月ぶりに22,000円の大台を割り込んだ
- 東証1部の値上がり銘柄数が79に対して、値下がり銘柄数は2,015と全面安の展開で、TOPIX33業種はすべての業種が下落した
- 日経平均の寄り付きは前日比210円安でスタートしたが、本格化する決算発表を前に投資家が様子見姿勢を決め込み、買い指値が入りにくいなか、内外投資家の売りで多くの銘柄が値を消した
- 9月の工作機械受注で中国向けが前年同月比22%減少したことでファナックや安川電、コマツなどFAや工作機械、建機などが軒並み安
- ホンダやデンソー、SUBARUといった自動車も安い。東エレクやアドバンテなど半導体関連も下落
- 東京地裁からリニア中央新幹線の入札で独禁法違反による罰金を受けたと発表した大手ゼネコンが安く、業種別で建設業は二番目に大きな下落率となった
- サウジアラビアと共同で10兆円のビジョンファンドを運営するソフトバンクGが日経平均株価の下落寄与度がトップ
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.33倍(前日13.34倍)
- 東証1部売買代金:2兆5,724億円
- 東証1部年初来高値銘柄数11/年初来安値銘柄数364
- 東証1部値上がり銘柄数79/値下がり銘柄数2,015
- 東証1部騰落レシオ:95.5(前日107.4)
- TOPIX33業種
上昇上位:なし
下落上位:金属製品、建設業、ガラス土石、パルプ紙など
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:カシオ、キリンHD、NECのみ
下落寄与度:ソフトバンクG(‐30円)、テルモ(‐25円)、KDDI(‐19円)など
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