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マーケットコメント
2018年10月17日 【米国株急反発、ニューヨークダウは前日比547ドル高、ナスダック総合は同214ポイント高】
(本日は後半部分に当面の米企業決算・企業関連イベントを掲載しています)
10月16日(火)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 16日の米株式市場で主要3指数はそろって大幅反発、ニュ-ヨークダウは前日比547ドル高で引けた
- 米鉱工業生産指数や住宅指標、雇用関連指標など良好な経済指標の発表や、市場見通しを上回る主要企業の決算発表を受け、投資家心理が大きく改善した
- S&P500種株価指数は前日比2.1%高、中長期トレンドを示す200日移動平均線を超えた。情報技術、ヘルスケアを筆頭に全11業種が値上がりした
- 企業決算では、金融大手のゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーの7-9月期の1株利益が市場予想を上回ったほか、ジョンソン・アンド・ジョンソンは好決算とあわせて通期見通しを引き上げた
- 米長期金利の上昇一服も買い安心感を誘い、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、マイクロソフトなど主力ハイテク株が大きく買われ、ナスダック総合は前日比214ドル高(2.9%高)
- ネットによる映像配信を手掛けるネットフリックスは世界の契約数が市場予想を大幅に上回り、株価は時間外で15%以上上昇
- 投資家の不安心理を示す米VIX指数は前日の21.30から17.62に大きく低下した
米長期金利
- 10年国債利回り:3.16%(前日3.15%)
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=112.29-112.30円(前日111.77円)
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:25,798ドル(前日比:+547ドル)
- S&P500種株価指数:2,809ポイント(前日比+59)
- ナスダック総合株価指数:7,645ポイント(前日比+214)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,282ポイント(前日1,241ポイント)と上昇
- 米VIX指数(恐怖指数):17.62(前日21.30)大幅に低下
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:情報技術、ヘルスケア、コミュニケーションなど
- 下落:なし
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:ユナイテッドヘルス・グループ(+83ドル)、ボーイング(+63ドル)、ゴールドマン・サックス(+43ドル)、アップル(+32ドル)など
- 下落寄与:なし
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物
1バレル=71.92ドル(前日比+0.14ドル)、3日続伸
- ニューヨーク金先物
1トロイオンス=1,231ドル(前日比+0.7ドル)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
金融市場に影響したと思われる材料
- 好調な米経済指標
9月の米鉱工業生産指数は前月比0.3%増と市場予想(0.2%増)を上回り、4カ月連続プラス
10月米NAHB住宅市場指数は68となり、前回(67)や市場予想(67)を上回った
8月の米雇用動態調査で非農業部門求人数が2000年12月の統計開始以来の最多
→最近の米長期金利の上昇で経済指標の悪化を警戒していた投資家の安心材料となる
- 米企業決算
ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーの7-9月期決算で純利益は前年同期比そろって二ケタ増益、ともに市場予想を上回る収益を達成
ネットフリックスの7-9月期決算は前年同期比36%増収となった。7-9月期の契約者数は全世界で696万人増え、増加数は会社予想や市場予想を大幅に上回った。株価は時間外で15%以上上昇した→最近の株式市場の下落で警戒していた投資家の安心材料となる
- 英国の賃金が大幅上昇
英国立統計局が発表した統計によると6-8月の平均週間賃金(除くボーナス)は前年同期比3.1%増と約10年ぶり大幅な伸びを記録。同国では失業率の急低下にもかかわらず、これまで賃金が伸び悩んでいた→英国固有の現象か、それともいずれ米国経済にも当てはまるのか注目される
- ユーロ圏の景況感が予想を上回る悪化
10月の独ZEW景況感調査(期待指数)は‐24.7、前月の-10.6、市場予想の-12.0を大幅に上回る悪化となった。また10月のユーロ圏ZEW景況感調査は-19.4と前月(-7.2)から悪化した。米中貿易摩擦や英国のEU離脱を巡る懸念で先行きの不透明感が高まっている
当面の東京株式市場のポイント
- 米VIX指数(恐怖指数)は16日に「17」台まで低下し、投資家心理が落ち着いてきた。今後10~15のゾーンに回帰できるかが、金融市場が安定するかのポイント
- 日経平均は大幅な反発が予想されるが、200日移動平均線(22,503円)を維持することと、中期移動平均線(80日線:22,710円台)を早急に突破し、維持し続けることが上昇トレンド復帰への条件
- 日経平均の予想PERは10月2日の13.95倍から15日には12.80倍に低下した。PERから逆算した予想EPSはともに1,740円で変わらず。日経平均が約2,000円下落した要因はPERの低下、すなわち投資家の期待値の低下によるもの。米長期金利の上昇や米ナスダック総合の大幅下落、円高懸念などが影響した模様。逆に言うと株価の回復は投資家心理の改善次第ということ。昨日の米VIX指数は大幅に低下しており、投資家心理が改善しつつある
- JPX日本取引所グループが16日に発表した信用買い残(10月12日時点)は3兆595億円と前週比1,657億円増となった。2週連続増で計2,789億円増えた。個人投資家は最近の急落時に積極的にリスクを取ったことを示す
参照したサイト(JPXのホームページ)
https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/margin/tvdivq0000001rhv-att/mtgaisan2018101200.pdf
- 19日は中国の7-9月期GDPや鉱工業生産、固定資産投資など重要な経済指標の発表日。東京市場では様子見ムードが強まり週末にかけてポジション調整となる可能性がある
10月16日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:22,549円 (前日比+277円)
- TOPIX:1,687ポイント(前日比+12.4)
相場のポイント
- 16日の東京株式市場は反発。日経平均は前日比277円高の22,549円と本日の高値で取引を終えた。最近の株価急落で値ごろ感の買いが優勢だった。指数寄与度の高いファーストリテイとソフトバンクが大幅上昇。中長期的トレンドを示す200日移動平均線(22,503円)を上回って引けた
- 原油価格の上昇やサウジ情勢の緊張で国際帝石やJXTGなど石油関連が買われ、TOPIX業種別では鉱業が値上がり1位。三菱商や三井物、千代健など資源関連も高い
- 引け後に発表される9月の訪日外国人観光客数は減少が込まれことを先取りして、Jフロント、ユニー・ファミマなど小売りや、資生堂、ユニ・チャーム、ファンケル、コーセーといったインバウンド消費関連に値下がりする銘柄が目立つ
- 実際に、訪日外国人観光客数は前年同月比5.3%減となった。前年割れは2013年1月以来5年8カ月ぶり。しかし、台風21号や地震など自然災害が原因ということははっきりしており、サプライズでもない
- 日経平均が10月11日に最大1,000円超の値下がりとなって以来、市場の変動率(ボラティリティ・日経平均VI)が高止まりしており、日経平均は15日の前日比-423円、本日は+277円と値動きの荒い相場が続いている。日経平均VIが高い間は乱高下が続くが、経験則的にはその期間に安値を付けることが多い
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.36倍(前日13.29倍)
- 東証1部売買代金:2兆4,823億円
- 東証1部年初来高値銘柄数/年初来安値銘柄数:9/303
- 東証1部値上がり銘柄数/値下がり銘柄数:1,112/910
- 東証1部騰落レシオ:99.19(前日94.49)
- TOPIX33業種
上昇上位:鉱業、不動産、鉄鋼など25業種
下落上位:精密、サービス、空運など7業種
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:ファーストリテイ(+78円)、ソフトバンクG(+37円)、ファナック(+19円)など
下落寄与度:テルモ(-18円)、リクルートHD(-8円)、資生堂(-6円)など
主な米企業決算・企業関連イベント(26日まで)
- 17日:エヌビディア主催GPLテクノロジーイベント「GTCイスラエル」(~18日)
- 18日:インテュイティブサージカル、ペイパル、(欧州)SAP、ノバルティス、グーグル新型スマホ「Pixel3」2種米国発売
- 19日:プロクター&ギャンブル、シュルンベルジェ
- 22日:ハリバートン、エヌビディア主催CPUテクノロジーイベント「GTC2018」(~24日)、国際フィンテックカンファレンス(21-24日)
- 23日:スリーエム、キャタピラー、バイオジェン
- 24日:マイクロソフト、ビザ、ボーイング、(欧州)バークレイズ、ドイツ銀行
- 25日:インテル、GE、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メルク、ツイッター、レイセオン、(欧州)ダイムラー、マイクロソフト主催IoTイベント
- 26日:グッド・イヤ・タイヤ&ラバー、(欧州)RBSグループ、アップルiPhone新モデル「XR(テン・アール)」発売
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