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マーケットコメント
2018年10月16日 【NYダウは反落、ハイテク株の下落が重し、サウジ情勢も投資家心理を慎重にさせた】
10月15日(月)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- 15日の米国株式市場でニューヨークダウは反落、前週末比89ドル安で引けた。先週までの下落で値ごろ感の買いが入り、ダウは一時140ドル上昇したが上値の重さが意識され引けにかけて下落。米国とサウジアラビアの緊張も投資家心理の悪材料となった
- アップルが2%強下げてダウを32ドル強引き下げた。ゴールドマン・サックスが中国の消費鈍化がアップル製品の需要低迷につながりかねないと指摘したことが悪材料となった
- ナスダック総合は66ドル安と反落。アップル、アルファベット、エヌビディアなど主力ハイテク銘柄の下げが目立った。ネットフリックスはアナリストの投資判断引き下げで下落
- 為替市場は米国の半期為替報告書の発表を前に短期筋がドル安・円高にポジションを傾け、ドル円相場は111円台後半で神経質な動き
米長期金利
- 10年国債利回り:3.155%(前日3.16%)、小動き
ニューヨーク為替相場
- ドル円相場:1ドル=111.77円(前日112.15~25円)、112円割れで神経質な動き
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均:25,250ドル(前日比:‐89ドル)
- S&P500種株価指数:2,750ポイント(前日比‐16)
- ナスダック総合株価指数:7,430ポイント(前日比‐66)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数):1,241ポイント(前日1,253ポイント)
- 米VIX指数(恐怖指数):21.30(前日21.31)
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:生活必需品、不動産、公益など
- 下落:情報技術、エネルギー、ヘルスケアなど
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:ゴールドマン・サックス、P&G、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスなど
- 下落寄与:アップル、ビザ、マイクロソフトなど
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物
1バレル=71.78ドル(前日比+0.4ドル)
- ニューヨーク金先物
1トロイオンス=1,230ドル(前日比+8ドル)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
金融市場に影響したと思われる材料
- 明暗を分けた15日の米経済指標
9月の米小売売上高は市場を下回る。ハリケーン「フローレンス」の影響か
9月の米小売売上高は前月比0.1%増と伸び率は前月と変わらずだが、市場予想(同0.7%増)を下回った。全体から自動車・関連部品を除く売上高は同0.1%減で0.4%増程度の増加を見込んだ市場予想と比べて減少した→大型ハリケーンが一部に影響したと考えられる。10月以降は株価下落による個人消費への影響を見極める必要がある
10月の製造業景況感は好調
10月のニューヨーク連銀製造業景況指数は21.1で前月比2.1ポイント上昇。2カ月ぶりの上昇で市場予想(19.3)を上回った→製造業は依然として活況が続いていることを示唆
- 米財政赤字、6年ぶり高水準に
米財務省が15日発表した2018会計年度(17年10月~18年9月)の米財政収支は、赤字額が7,790億ドルと、前年度の6,660億ドルから拡大し、12年度以来6年ぶりの高水準を記録。GDP比率は前年の3.5%から3.9%に拡大へ。昨年末の大型減税や今年になってからの歳出拡大が赤字拡大の要因。今後は歳入が増えなければ財政赤字は19~20年度に1兆ドルに達するとみられる→財政赤字拡大は予想されているが改めてドルの上値を抑える材料
- サウジアラビア情勢がマーケットにも影響
サウジアラビア政府に批判的な著名記者がトルコで殺害された疑惑を巡り、サウジが10月下旬に主催する投資会議にJPモルガン・チェースやブラックロックなど米金融大手の幹部が出席見送りを表明→米国株でも心理的な重しになっている模様。日本株ではサウジ政府と運用額10兆円規模の「ピジョン・ファンド」を運用するソフトバンクG株式の悪材料に
- 独州議会選で与党大敗、メルケル氏に逆風、指導力に影響も
保守の牙城だったドイツ南部のバイエルン州の州議会選挙で政権与党のキリスト教社会同盟(CSU)が大敗。次の焦点は28日のヘッセン州議会選挙だが、与党の苦戦を見込む声が多い。仮に連敗ならメルケル首相の責任論も浮上しかねない情勢→英国のEU離脱交渉、イタリア財政懸念に加え、ユーロ圏の先行き政治リスクとして意識される
当面の東京株式市場のポイント
- 日経平均は15日の引け値(22,271円)からみると水準的には4月~9月のもみ合いゾーンである22,000円~23,000円のレンジに回帰してきた
- 今週は米国の半期為替報告書の発表が最大の注目材料。内容次第では円高を伴い株式市場に影響を及ぼす可能性も否定できない。米CFTCの統計によると投機筋の円売り越しポジションは9月上旬から急増し10月9日時点では11万枚を超えている。売りポジションが巻き戻されると円高・株安に働く可能性がある。逆に為替操作国として中国が取り上げられていなければ、当該問題に関する市場の不安は大きく後退し、株式の買戻しが進む可能性がある
- 当面、日米の企業決算シーズンとなるためミクロの業績をチェックする時間帯と考えられる
- 日経平均は15日の引け値で予想PERが12.8倍と13倍割れ。アベノミクス相場(2013年6月1日~2018年10月5日)の期間に予想PERが13倍割れとなる時が株価の下値水準となっている。当面、日経平均の上値は重そうだが下値には買いが入りやすいといえる
- 裁定買い残は9月7日から28日までに約1兆1,200億円増加するなど、9月の株価上昇の最大のエンジンだったが、足元はこの巻き戻しが起きている可能性がある。今週の東証の統計が注目される
10月15日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価:22,271円 (前日比‐423円)
- TOPIX:1,675ポイント(前日比‐27)
相場のポイント
- 15日の東京株式市場で日経平均は大幅反落。前週末比423円下落し22,271円で取引を終えた。8月21日以来の安値水準。上海総合指数が前週末比38ポイント下落し2,568ポイントと2014年11月以来、3年11ヵ月ぶりの安値となるなど中国株安も投資家心理を冷やした
- ムニューシン米財務長官が日本に対して通貨安誘導を封じる「為替条項」を求める考えを示したことや、安倍首相が来年の消費税増税への決意を表明したことで個人消費の冷え込みで景気が腰折れするとの懸念も改めて意識された
- 日経平均株価の下落寄与はファーストリテイが-93円、ソフトバンクGが-80円と2銘柄で170円超の引き下げており、先物安が主導する裁定解消売りの影響が出ている模様。ソフトバンクGはサウジアラビア情勢への懸念からピジョン・ファンドを運用する同社株の悪材料とされている模様。同社の4~6月期決算ではピジョン・ファンドの事業利益が国内通信事業を上回る規模になっており、今後の収益への影響が懸念されている模様
- トヨタ、ホンダの自動車大手が年初来安値更新。米国と中国の二大市場における新車販売の減速を織り込んでいる模様。素材では東レが安値更新となり、一部の主力の上値が重い印象
- 日経平均上昇寄与度の上位5銘柄のなかには1位の電通に次ぎ、塩野義、エーザイ、大日住薬など医薬品が3銘柄占めるなどディフェンシブ株にシフトしている
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.29倍(前日13.33倍)
- 東証1部売買代金:2兆5,945億円
- 東証1部年初来高値銘柄数/年初来安値銘柄数:12/258
- 東証1部値上がり銘柄数/値下がり銘柄数:223/1852
- 東証1部騰落レシオ:94.49(前日98.40)
- TOPIX33業種
上昇上位:鉱業、空運の2業種
下落上位:通信、ガラス土石、輸送機器など
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:電通、塩野義、エーザイなど
下落寄与度:ファーストリテイ、ソフトバンクG、ダイキンなど
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