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マーケットコメント
2018年10月1日 【イタリアの財政懸念が米国株価の上値を抑制】
9月28日(金)のニューヨーク金融市場
相場のポイント
- ニューヨーク市場の主要3指数はまちまちの展開でダウ平均は前日比+18ドルと小幅続伸
- 好材料が出たインテルとボーイングがダウ平均をけん引
- イタリアの財政懸念を受けた欧州株の下落が米国市場にも影響し上値は重かった
- 米長期金利は前日比やや上昇し、為替はドル高・円安となった
米長期金利
- 10年国債利回り3.07%(前日3.05%)
イタリアの財政懸念で一時米国債は買われる(金利は低下)場面があったが、株価が持ち直すと、米国債に売りが入った(金利は上昇)
ニューヨーク為替相場
- ドル/円相場1ドル=113.69円(前日113.39円)
一時113.7円台と昨年12月以来、約9カ月ぶりの円安水準
米主要株価指数
- ニューヨークダウ30種平均26,458ドル(前日比+18ドル)
- S&P500種株価指数2,913ポイント(前日比‐0.02)
- ナスダック総合8,046ポイント(前日比+4)
- 米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)1,366ポイント(前日1,357ポイント)と上昇
- 米VIX指数(恐怖指数)12.12(前日12.41)と低下
S&P500種株価指数の主な上昇・下落業種
- 上昇:公益、不動産、情報技術
- 下落:金融、素材、コミュニュケーション
ニューヨークダウ30種平均への主な上昇寄与度・下落寄与度銘柄
(ダウ平均変動幅への影響)
- 上昇寄与:ボーイング、ユナイテッドヘルス・グループ、インテル
- 下落寄与:ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、アメリカン・エキスプレス
国際商品市況
- ニューヨークWTI原油先物
1バレル=73.25ドル(前日比+1.13ドル)
一時73.73ドル台まで買われ約2カ月半ぶりの高値。中国がイラン産原油の輸入を大幅に減らしたと伝わり、イラン供給減を見込む買いが入った模様
- ニューヨーク金先物
1トロイオンス=1,196ドル(前日比+8.8ドル)
データを参照したサイト
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
金融市場に影響したと思われる材料
- イタリア政府は27日、19年~21年の3年間の経済財政計画を閣議決定。最大の焦点だったGDPに対する財政赤字比率をめぐり議会が大混乱→財政懸念が再び高まりイタリアの国の国債相場は売られ(長期金利は上昇)、株価も急落した。イタリアの財政リスクは欧州株式の下落に波及した
- インテルは28日、7月に上方修正した通期の売上見通しを達成する見込みだと取引先に説明したと伝わった→同社株ほか半導体関連にも買いが入り米SOX指数は上昇
- ボーイングは27日、米空軍からの大型受注を発表→同社株は最大のダウ上昇寄与度銘柄
- フェイスブックは28日、ハッカーが約5,000万件のアカウントに不正にアクセスが可能だったというセキュリティ-上の問題があったと発表→同社株やツイッタ-にも売りが増えた
- 8月の米PCE物価指数は前年同月比2.2%上昇、食品とエネルギーを除くコア指数は同2%上昇と4カ月連続で2%に到達。同指標はFRBが物価指数として重視するもの→緩やかな米利上げを正当化する材料
当面の東京株式市場のポイント
- 本日から10月相場のスタート、9月末の大幅高で投資家のリスク先行ムードは継続か
- 内閣改造・自民党役員人事(2日)決定後、安倍改造内閣による経済政策の内容に注目。昨日の沖縄県知事選で与党が推薦した候補者が落選、米軍基地移転をめぐる米国との関係やカジノ候補地選定にも影響する可能性も
- 中国国慶節(1日、建国記念日)から始まる大型連休(~7日)期間の訪日中国人観光客数
- 9月第3週に海外投資家は先物市場で1.2兆円の買い越しが確認されたが、現物の買い越しは2,771億円(東証のデータ)。海外投資家は米国と比べてパフォーマンスの劣る日本株式を今年1~8月累計で3.8兆円以上売り越した。9月以降の日本の株式相場の回復で、海外勢が売り過ぎた分の買戻しはこれから本格化する可能性も
参照したサイト
JPX日本取引所グループ(先物取引の投資部門別売買)
JPX日本取引所グループ(現物投資の投資部門別 株式売買状況 二市場一・二部等 [金額] 全 50 社)
- 当面のポイントは為替相場。先週末、年初来のドル高・円安水準となったが、さらにドルは上値を試すのか、利益確定売りとなるか。今週は米ISM製造業景況指数や米雇用統計など注目される指標がある。市場予想よりも強い指標となれば米長期金利がアップサイドに反応し、為替に影響する可能性も
- 米商品先物取引委員会(CFTC、25日の最新データ)によると、投機筋は米10年国債先物の売り越しポジションを75万枚超まで積み増し(相場下落=金利上昇要因)、円の売り越しポジションを8.4万枚まで増加(円安要因)させた。米金利上昇→一段のドル高・円安シナリオを維持している可能性がある
参照したサイト(第一商品、CFTC建玉明細)
https://www.dai-ichi.co.jp/market/cftc.asp?cd=5070
28日の東京株式市場
主要株価指数
- 日経平均株価 24,120 円(前日比+323円)、大幅反発
- TOPIX1,817ポイント(前日比+17)、大幅反発
相場のポイント
- 日経平均は大幅反発、前日比323円高の24,120円で終えた。一時、1月23日の取引時間中の高値(24,129円)を超え、1991年11月以来となる約27年ぶりの高値となったが、引けにかけてやや利益確定売りに押された
- 1ドル=113.50円台と年初来のドル高・円安が進み、業績改善期待から機械や電機など輸出関連に買いが集まった
- 内需系でも電力や医薬品、建設など幅広く買われ、値上がり銘柄数は1400近い全面高
- 株価指数ではソフトバンクGとファーストリテイの2銘柄で日経平均を約100円押し上げた
主要な市場内指標
- NT倍率(日経平均÷TOPIX):13.27倍(前日13.22倍)
- 東証1部売買代金:3兆1,929億円と3兆円を超す商い
- 東証1部年初来高値銘柄数/年初来安値銘柄数:118/28と、依然として年初来高値更新銘柄が多い状況
- 東証1部値上がり銘柄数/値下がり銘柄数:1399/623
- 東証1部騰落レシオ:131.65(前日133.30)、応答日の関係でやや低下したが依然として過熱感がある水準
- TOPIX33業種
上昇上位:通信、化学、パルプ紙など29
下落上位:空運、繊維、不動産など
- 日経平均寄与度(日経平均の変動幅に影響した値幅)
上昇寄与度:ソフトバンクG+56円、ファーストリテイ+44円、リクルートHD+11円など
下落寄与度:TDK-7円、スズキ-4円、太陽電-3円
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