相場格言
相場格言シリーズ3
「半値戻しは全値戻し」
株価が何らかの理由で大幅に下落した後に、下落幅の半分である半値を回復した場合は、下落の前の元の値段である全値を回復する確率が高いという経験則があります。これが「半値戻しは全値戻し」という格言の意味です。
ニューヨークダウ30種平均は2018年10月3日に過去最高値26,951ドルを付けました。その後、半導体やFANG銘柄の急落、FRBによる引き締め懸念、米中貿易摩擦の悪化による米景気懸念などで、12月26日には21,712ドルまで下落しました。高値からの下落幅は5,239ドル、下落率は19.4%に達しました。この時にダウの下げ幅の半値戻しは24,331ドルと計算されます(5,239ドル÷2=2,619ドル、21,712+2,619ドル)。
その後、FRBが年内の利上げを見送る姿勢に転じたことや中国政府が景気を重視する政策に切り替えたことを受け、株価は急速に回復しました。NYダウが「半値戻し」を回復したのは今年1月17日(24,370ドル)でした。しかし、この時点でNYダウが元の値段(過去最高値)を付けると予想する人は少数だったと思います。ナスダック総合やS&P500種株価指数は高値からの下落率が20%を超え、米株式市場は経験則的には「弱気相場」入りしたとメディアは伝えました。その後NYダウは4月18日に高値26,602ドルまで上昇し、「元の値段」まであと1.3%まで迫りました。
今回の下落相場の主役は半導体関連ですが、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は2018年3月の高値1,445ポイントから12月の安値1,069ポイントまで376ポイント(26%)下落しましたが、1月25日に半値戻しを達成、4月3日には全値戻しを達成しています。
<株価回復にも必ず理由があり自ら考える事が重要>
相場のことですから下落幅の「半値戻し」となったら必ず「全値戻し」となるわけではありません。相場が回復する際の米国・中国・欧州の政治の状況や米国の経済、米企業の業績見通し、投資家心理などが影響します。この場合、欧米アジアの主要国の株価指数の回復力を計算してどの国の株価の回復が強いのか、弱いのかを分析すること。また、NY株式市場の主要3指数の回復力を計算してみること、そしてなぜこうした格差が生じているのかを自分で考えることが重要です。
<騰落に関わらず任意の時点での騰落率を追跡する習慣をつけよう>
同時にある一時点を基準にして株価指数の騰落率を追跡することも重要です。例えば、暦年の相場がスタートする際の基準となる前年(2018年)末を起点に株価騰落率を毎日チェックします。この時、主要国の株価指数を比較することをお勧めします。今回でいえば上海総合指数が最も早く立ち上がってきたわけですが、株式市場は中国経済の底入れをいち早く示唆していたと言えるでしょう。ちなみに4月18日時点の主要株価指数の年初来騰落率は値上がりが大きい順に上海総合指数が+30.3%、ナスダック総合が+20.5%、イタリアFTSEMIBが+19.8%、フランスCAC40指数は+18%、香港ハンセン指数は+15.9%となっています。なお、NYダウ平均は+13.8%、日経平均は+10.4%となっています。
なお日経平均の2018年10月高値から12月安値までの下落幅に対する半値戻しは21,698円で、3月4日にようやく達成しました。4月18日(22,090円)時点で下落幅の57%を回復した格好です。欧米市場と比べて出遅れ感が際立っています。
以上