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マーケット見通とポイント

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マーケット見通とポイント

2026年3月4日
技術覇権、資源確保、防衛力強化を中核とする産業政策が加速。

米中対立や地政学的リスクの高まりを背景に安全保障を軸とした国家主導の産業政策が加速している。技術覇権、資源確保、防衛力に影響する中核領域への投資は着実に進むとみられ、「AI・半導体」「資源・エネルギー」「防衛・宇宙」の3つの戦略分野が今後の株式市場での有望テーマと考えられる。
AIについては足もとで過剰投資への警戒感も根強いが、AIエージェントやフィジカルAIなど新たな技術が普及期に入りつつある。中長期的にも市場は拡大が続くだろう。
資源・エネルギー分野では、データセンターの急増に伴う電力需要拡大への対応が急務となっている。米国では主力電源である天然ガス火力発電への投資を進めることで電力の安定供給を図る計画が進んでいるほか、米政府は原子力発電を拡大する方針も示している。日本ではデータセンターの進出などで電力需要の拡大が想定される北海道電力が、原子力発電の再稼働とともに、1000億円超を投じる液化天然ガス火力発電所の新設計画が報じられた。
さらに世界の防衛支出は中長期的な拡大トレンドへ転じる蓋然性が高まっている。米国防総省は1月23日、第2次トランプ政権で初めての国家防衛戦略(NDS)を発表。最優先事項にインド太平洋地域での中国の軍事行動の抑止や、西半球も含めた「本土防衛」、同盟国・パートナーの負担強化を掲げた。このなかで日本を含む同盟国に国防費を国内総生産(GDP)比で5%まで引き上げるよう求める方針を明記した。こうしたテーマに関連する中堅クラスの好業績銘柄に注目したい。

戦略分野に関連する五洋建設、デンカ、荏原、横河電機が有望。

五洋建設(1893・東証プライム)は準大手ゼネコンであり、海上土木(マリンコントラクタ—)の最大手。主な施工実績には中部国際空港(2003年)や東京国際クルーズターミナル(20年)など。東南アジアを中心に海外展開にも積極的で、前25年3月期の海外完成工事比率は20%と、相対的に海外工事の比率が高い。今26年3月期の第3四半期の売上高は前年同期比13%増、営業利益は同3倍増と拡大した。豊富な手持ち工事の順調な進捗で国内部門が好調なほか、海外部門の利益も改善した。これを受けて会社側は、通期計画を売上高で7270億円から7590億円、営業利益を395億円から505億円に増額した。政府は安全保障環境の厳しさから自衛隊の港湾施設などを強化しており、防衛関連の建設実績が豊富な同社は受注を伸ばしている。現在は、22年度馬毛島係留施設等築造工事(請負額1481億円、工期は27年3月まで)など大型案件を抱えている。同社は今26年3月期の国内単体の受注高を土木と建築の合計で5200億円を見込んでいるが、同社の清水琢三社長は「防衛省からの受注高は2割弱を占めるほどになった」とコメントしている。同社は防衛関連銘柄としての評価が高まろう。
デンカ(4061・東証プライム)は電子材料をはじめとした高付加価値のファインケミカル製品を中心に展開する中堅化学メーカー。半導体封止材向けの溶融シリカフィラーなど世界トップシェア製品を多数有する。今26年3月期の営業利益は前期比73%の250億円を計画している。生成AI向け半導体材料(球状シリカなど)と電力インフラ向けの高付加価値製品の需要が好調で、今期の中間決算発表時に電子・先端プロダクツ部門の営業利益を期初予想の100億円から125億円に引き上げた。球状シリカは、半導体パッケージ(とくにAI向け高性能半導体)に使われる超高純度・高絶縁性の球状フィラー(充填剤)。生成AI向けGPU・HBMの高発熱・高周波化に対応するため、低誘電・高流動・高信頼性といった特性が強く求められ、デンカはこの分野で世界シェア約3割を持つトップメーカー。電力インフラ向けのアセチレンブラックは超高純度・高導電性カーボンとして電力ケーブルや電池に使われる。またアルシンクはアルミとセラミックス(主にSic)を組み合わせた放熱複合材として鉄道・電力向けパワーモジュールの熱対策に使われている。今後期待できる製品では、25年2月に発売した低誘電有機絶縁材料スネクトンは電気信号の損失(伝送損失)の低減を実現したことでAIサーバーのマザーボードに採用になったとみられ、今後の売上げ増加が期待される。
荏原(6361・東証プライム)は建築・産業設備、エネルギー、水関連インフラ向けに強みを持つポンプの総合メーカー。各種ポンプや機械、都市ごみ焼却・産業廃棄物焼却プラントなどを扱う。精密・電子事業では半導体の製造工程(前工程)で使われる真空ポンプ、CMP(化学機械研磨、ウエハ表面を原子レベルで平坦化する装置)装置でも世界トップクラスの技術力を有する。これらは世界の半導体メーカーの先端ロジック量産ラインなどで不可欠な装置。会社側は前25年12月期通期の売上収益を昨年11月の第3四半期決算発表時に、従来の9000億円から9270億円(前の期比7%増)、営業利益を同1025億円から同1100億円(同12%増)に上方修正した。環境事業では売上収益を同70億円、営業利益を同45億円上方修正し、精密・電子でもCMPの増収や固定費削減などで売上収益を同200億円、営業利益を同35億円上方修正した。同社の半導体製造装置における最大の顧客である台湾のTSMCは、1月15日の決算発表で生成AI向け半導体の需要が旺盛で26年の設備投資を520〜560億ドルと、25年の投資実績(409億ドル)を約3割上回り過去最高になる見通しと発表した。半導体関連をけん引役に今26年12月期も最高益の更新が期待できよう。
横河電機(6841・東証プライム)は石油、化学など各種プラント生産設備向け制御システムが主力事業。産業計測や制御システムに強みがあり、石油精製、石油・ガス開発などエネルギー関連のウエイトが高い点が特徴。今26年3月期の売上高は前期比6%増の5950億円、営業利益は4%増の870億円の計画。第3四半期決算発表時に、従来予想からそれぞれ180億円、40億円引き上げた。全体の受注高は37%増の6150億円と180億円増額修正した。顧客の投資意欲は引き続き高く、旺盛なエネルギー需要を背景に堅調な市場環境が続く見込み。米国では人工知能(AI)の普及などに伴う消費電力増加でエネルギープラントへの投資が活発化している。欧州では再生可能エネルギーに加え、ベース電源として原子力に再び脚光が当たっている。海水淡水化や上下水道の広域管理といった水への投資、AIやDXソリューション、安全性・生産性向上などに関する分野の投資も活発になっている。29年3月期を最終年度とする中期経営計画では、成長投資枠としてM&A・アライアンスに1000億円以上を投じ、成長戦略の実現に向けた投資を加速・拡大する方針だ。受注高および売上高を1年当たり10%以上の成長、売上高経常利益率15%以上などの数値目標の達成を目指している。
(2月20日記)

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