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マーケット見通とポイント

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マーケット見通とポイント

2025年3月31日
トランプ政策に株式市場は冷静に対応、ポイントは米国経済動向。

1月20日にトランプ第2次政権が発足して2カ月が経過した。最初の1カ月でトランプ大統領は内政から外交まで一気阿成で政策を発動した。関税強化など米国経済にもネガティブな政策が先行していることもあり、マーケット関係者が重視する経済政策不確実指数(EPU)は1月に678と過去の経済ショック時並みに高まっている。同指数は米国の主要10紙から経済政策に関して不確実・不確定などのキーワードを含む記事を各紙ごとに収集して算出される。しかし、並行して株式市場で注目されるVIX指数(恐怖指数)は25年1月以降、最大20ポイント台後半と世界金融危機やコロナショック時の70ポイント前後はもとより、ロシアのウクライナ侵攻時やBrexit、第1次トランプ政権発足時の30ポイント超よりかなり低い。株式市場の反応は驚くほど冷静だ。実際に米S&P500種株価指数は2月18日に史上最高値を更新している。どこの国のメディアも読者の関心が高いテーマは派手な見出しとともに大きく扱い、読者の恐怖心をあおる傾向が強いが、市場関係者はトランプ氏の手法を相当程度理解して冷静に対応している。つまり、交渉自体がディールなので、貿易問題をめぐる不確実性などはノイズと捉えるべきではないか。株式市場のボラティリティは一定程度影響を受けるが、それは市場のトレンドを変えるものではない。トレンドはあくまで米国経済の方向性が握っている。ビジネスマンであるトランプ氏は経済成長を最優先する可能性が高く、株価トレンドに変化はないとみるべきだろう。

ただ一つ、経済のかく乱要因が浮上している。イーロン・マスク氏が率いる政府効率化省(DOGE)による連邦政府職員の大リストラだ。最近、労働市場や住宅価格に不確実性が高まっている。現在、米国政府で働いている人は約270万人だが、推定では、この勧告を受けるのは従業員の5%から10%とされている。ちなみに、彼らには9月までの給与を支払うことが条件なので、厳密には25年9月までは失業していないことになる。控えめに見積もって5%がこのオファーを受けると仮定すると、13万5000人の連邦職員が対象になる。あるエコノミストによると、リストラによって他地域に引っ越してしまう人が増えつつあるワシントンDCでは、24年11月以来、平均を大幅に上回る約5000戸の住宅が売りに出されているという。同地域の住宅価格の中央値は、24年11月以来、13万9000ドルも下落(マイナス20%相当)、住宅在庫は前年比23%増加しており、今後も増える見通しだという。しかし、報道によると、マスク氏の強引な手法にDOGE内部職員が反発する動きもあり、最終的にどのような状況になるか読めない。こうした政策は金融緩和を後押しする要因となりそうだが、今後、経済統計に反映されたときの市場の反応には注意したい。

日本企業の業績は順調、資本効率改善要請に応える企業に注目。

トランプ第2次政権と日本がどのように向き合うかについて、米国の現代政治外交が専門の前嶋和弘上智大学教授は「時間稼ぎで”トランプリスク“をチャンスに変えよ」と主張している(月刊「潮」3月号」)。26年に中間選挙が予定され、中間選挙では大統領と対立する政党が議席を増やす傾向にあることをふまえ、前嶋氏は「トランプ氏が主導権をもって仕事ができる期間は恐らく2年を切っている」「トランプ氏は強権的に見えるかもしれないが、彼は分断したアメリカの上に立っており、政権基盤は盤石ではない。過度に怯えたり、脅しに揺らいではいけない」と主張。そして一つ一つのディールに対して是々非々で答えを出していくことで「トランプリスク」を「トランプチャンス」に転換すべきだと論じている。日本株はボラティリティが高まる米国株からの影響を受けるが、冷静に対応したい。

今25年3月期の第3四半期決算で確認された日本企業の良好なファンダメンタルズは、1株当たり利益(EPS)の改善を通じて日本株の下値を徐々に強固にすると思われる。日本経済新聞社の集計によると、第3四半期時点で、今25年3月期の金融を含む全産業ベース(1005社)の経常利益予想は前期比7.0%増の70兆円。うち、製造業(505社)は同1.0%増の32.4兆円と、ほぼ横ばい予想だが、金融を含む非製造業(500社)は同12.7%増の37.6兆円と2ケタ成長が予想されている。つまり為替変動に影響を受けにくく内需が中心の金融や海運、陸運、小売りといった非製造業がけん引しているわけだ。仮に1〜3月の為替レートが1ドル=145〜150円でもアナリスト業績見通しのリビジョンインデックス(上方修正−下方修正)には上方バイアスが生じやすいだろう。

ガバナンス面では、今25年3月期の有価証券報告書から、保有目的を純投資に変更した株式の銘柄や金額について5事業年度分が開示される。25年4月以降に提出する有価証券報告書から、企業と株主の間で交わした重要な契約の開示も始まる。これらは、企業に対する内外投資家からの外部規律が一段と働きやすくなることを意味する。

3月に入り春闘に関する情報発信が続いている。25年の春闘では24年と同様に3%を超えるベースアップが期待される。昨年の平均賃上げ率(5.1%)やベースアップ(3.56%)を上回る数字が公表されれば、個人消費、実質GDPの伸び率が高まり、さらなる実質賃金上昇という好循環が意識されやすい。また、賃上げの原資確保に向けた企業の価格改定(値上げ)戦略は拡がりをみせている。今後公表される中期経営計画では、資本効率の改善や事業ポートフォリオの再編といった経営戦略に加えて、国内事業での成長を高めるため実質的に付加価値を向上させる戦略が打ち出されるかに注目したい。

ニューヨーク株式市場では「セルインメイ(5月に株を売れ)」と相場格言になるくらい4―5月に株高となる季節性が確認できる。3月にかけてトランプ大統領の「関税政策強化による世界経済へのリスク」という負の材料を先行して織り込んできたため、悪材料出尽くしから5月に向けて反発が期待できるだろう。日本株にも4〜5月にかけて株価が上昇しやすいアノマリーがある。新年度入りに伴う新しい運用資金の流入や春闘、決算発表、株主総会なども影響しているもようだ。ミクロ面のみならずマクロ面でも日本の良好なファンダメンタルズが意識しやすい時期に移る。一部の業種には貿易問題からくる潜在的な業績懸念がくすぶり、日本株全体としては下放れた形になったが、好業績を背景に切り返すタイミングは近いと思われる。

昨年来、アクティビストの動きが活発化している。24年のアクティビストの活動件数は150件と23年と比べて約1.5倍に増加している。東証の要請をきっかけに資本効率が低く、株価が割安で改善余地が大きいと見られる企業がターゲットとなっている。アクティビストの活動が報じられ、その対応に取り組んでいる企業として、DIC、三井不動産、東洋水産、サッポロHD、東京ガスに注目したい。

(3月20日記)

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