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マーケット見通とポイント

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マーケット見通とポイント

2024年5月27日
企業活動の回復と好企業業績を背景に設備投資意欲が高まる。

4月の日本の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.9と前月の48.2から上昇、サービス業PMIも54.6と前月の54.1から上昇した。米国の製造業PMIは4月49.9(前月51.9)に低下、サービス業PMIも50.9(前月51.7)に低下した。ユーロ圏の製造業PMIは4月45.6(前月46.1)に低下、サービス業PMIは52.9(前月51.5)に上昇した。日本は製造業、サービス業ともに上昇し、サービス業PMIの水準も高く、欧米に比べて良好である。製造業では半導体不足などが解消し、自動車生産が回復、企業の旺盛な設備投資意欲、電子部品・デバイス工業の在庫循環の好転、サービス業では円安を背景としたインバウンド需要の回復、実質賃金増加による消費の回復と、製造業、サービス業ともに好材料が多い。24年度のTOPIXベースの1株当たり利益(EPS)成長率に関するアナリストコンセンサス予想の前期比プラス10.0%の実現可能性は十分ある。

企業活動の回復と好調な企業業績を背景に企業の設備投資意欲が高まっている。4月1日に発表された日銀短観(3月調査)で、大企業製造業の24年度の設備投資計画は前年度比8.5%増とバブル期だった1989年度以来の高い伸び率となった。一因にはAI需要などを背景としたハイテク産業の積極姿勢にある。ルネサスエレクトロニクスは14年に閉鎖した甲府工場を再稼働してパワー半導体の生産を行う。AIの登場でデータ処理需要が高まり、データセンターでのパワー半導体の引き合いが強いためだ。また信越化学は56年ぶりに半導体素材の新工場を国内に建設する計画を明らかにした。今年に入り米クラウド大手企業によるわが国での巨額の設備投資計画の公表が相次いでいる。米アマゾン・ウエブ・サービス(AWS)は27年までの5年間に国内で2兆2600億円をデータセンターに投じるほか、オラクルは33年までの10年間で約1兆2000億円、マイクロソフトは24、25年の2年間で4400億円を投じる計画だ。グーグルも含めると4社の投資額合計は4兆円を超える。

ソフトウエア投資も旺盛だ。日銀短観の24年度ソフトウエア投資計画(全産業+金融機関)は前年比9.8%増と堅調だ。比較可能な09年度以降の期初計画伸び率としては過去最高だった22年度の同8.4%増を上回る。23年度の着地見通しが前年比10.3%増と2ケタ増であり、24年度も高い計画といえる。伸び率の内訳は製造業が前年比7.0%増、非製造業が同6.4%増、金融機関が同18.4%増。非製造業は基幹システム刷新やDX推進のための投資、運輸は物流施設増強や生産性向上が主な目的となっている。金融機関は金融業界全体としてのDX推進、23年度に投資を抑制した保険業がIT投資中心に拡大する見込みだ。持続的なインフレ下では、賃金はもとより調達コストなども増加するので、成長投資や資本効率改善が欠かせない。こうした意識変化が設備投資の増加に繋がった面もあろう。

 

人手不足などで省人化投資が加速する公算。ダイフクなどに注目。

 

第一生命経済研究所の永濱利廣主席エコノミストは、これまで連動性が高い日銀短観(3月調査)の設備投資計画とGDP統計の設備投資の関係を基に、GDP統計における名目設備投資の金額を推計した。それによると民間設備投資は22年度実績の96.9兆円から23年度は102.2兆円、24年度は108.0兆円にまで拡大する見通しだ。これが実現すれば、1991年度の102.7兆円を上回る過去最高水準まで設備投資額が拡大することになり、今年度の経済成長率の大きなけん引役になることが期待される。

政策の後押しも企業の投資意欲を高めている。米中対立の先鋭化など、地政学的リスクの拡大による経済安全保障重視などのマクロ環境の変化や、気候変動やデジタル化といった人類や社会の課題解決が求められている。政府はこうした大規模・長期の設備投資を後押しすべく、国内投資促進のパッケージ策を打ち出した。同施策は3つの柱で構成されており、具体的には、①分野別の戦略投資促進、②横断的な取り組み、③グローバル市場を見据えた取り組みである。

第1の柱の「分野別の戦略投資促進」は5部門で構成されており、①「GX推進戦略による官民投資促進」、②「DX・経済安全保障・フロンティア」、③「産業インフラ」「物流」、④「観光・文化・コンテンツ」、⑤「ヘルスケア」となっている。

第2の柱の「横断的な取り組み」では、ⓐ「人への投資」として「賃上げ所得向上」「人的投資・人材競争力の強化」など、ⓑ中堅企業の成長促進に向けた産業競争力強化法の見直し、ⓒ研究開発イノベーション拠点税制の創設などが含まれている。

第3の柱となる「グローバル市場を見据えた取り組み」は、資産運用立国の実現や対内直接投資・輸出の促進などが掲げられている。以上の3つの柱合計で11府省庁にまたがる200強の国内投資促進策(うち税制16施策、規制・制度18施策)が打ち出されている。政府としては24年度以降も設備投資を拡大・継続させて、27年度に115兆円超の目標を実現することで成長型経済への移行を目指している。上述の永濱エコノミストの試算である「24年度予想108.0兆円」からみて実現する可能性が高い。民間設備投資主導でわが国経済は中期的にも底堅い成長が続きそうだ。

高齢化が進む日本では産業の省人化が構造的なテーマである。足もとでは今春に話題となった賃上げの加速や、コロナ禍が一巡した後の人手不足の深刻化も起きている。省人化投資が加速する可能性があり、この関連で工場や物流施設内でのモノの搬送や仕分け、保管を行うマテハンシステムや生産などを自動化する「FA機器」の国内需要には追い風となりそうだ。ダイフク(6383)はマテハンシステムの大手。幅広い需要先をもつなかで、なかでもネット通販を含む商業・小売分野(物流施設向け)は重要な市場の一つ。また陸運業界では人員不足が深刻で、輸送能力が抑えられてしまう懸念がある。物流施設の高度化や効率化が必要だ。同社はグルーバル企業であり、国内外の半導体工場向けビジネスも収益の柱である。半導体業界の設備投資持ち直し期待が高まっており、この面でも注目できる。マテハンシステムを手掛ける椿本チエイン(6371)は電気自動車(EV)普及の減速で同社のエンジン車向け需要の減少懸念が後退している。オカムラ(7994)はマテハンシステム事業以外に、本業のオフィス家具や小売向けショーケースなどが好調だ。FA関連ではセンサー類大手のキーエンス(6861)が注目される。今25年3月期以降、これまで増強してきた人材(同社収益のけん引役と考えられている)の戦力化も期待できそうだ。そのほかのFA関連としてはファナック(6954)、SMC(6273)、オムロン(6645)などがある。いずれもグローバル企業であり、中国も重要な市場である。その中国では足もとで景気が持ち直す可能性が出始めている。

(5月23日記)

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