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マーケット見通とポイント

2020年2月3日
20年は「適温経済」のもとドイツと日本株の値上がり余地大

20年は「適温経済」のもとドイツと日本株の値上がり余地大

2019年のグローバル市場は景気後退懸念から、投資家心理を冷やす場面がたびたび見られたが、世界経済は減速しながらも緩やかに成長を続けている。

20年は世界経済の底打ち・反転期待が高まっており、低位ながら安定成長、低インフレが継続する「適温経済」がメインシナリオである。株式やクレジットなどリスク資産への投資に良好な環境が続こう。一方でリスク要因は長期化する米中対立に加え、政策や地政学的リスクなど、いたるところに存在する。

19年の教訓を踏まえれば、これらのリスク要因は意識しつつも、ファンダメンタルズを見極めた上で守りと攻めの判断を持つことが肝要だろう。日経平均が下落した局面ではその悪材料が一時的なブレに終る材料か、それともトレンドを転換させるほどの重大な材料なのかの見極めが重要だ。一時的なブレの材料と判断されれば絶好の買いのタイミングとなる。18年後半に起きた米FRBによる金融引き締め下の半導体市況の悪化とファーウェイ問題は、米FRBが緩和に転じたため、市場のトレンド転換が避けられた。19年は米中貿易摩擦の激化で5月と8月に市場は一瞬、緊張が高まったが、結局は相場のブレの範囲に収まった。

20年は年初に起きた米・イラン関係の緊迫化の行方や米大統領選が市場にどう影響するかは注視する必要がある。とくに米国とイランがホルムズ海峡周辺の有事に発展すれば、原油の値上がりと米個人消費への影響、企業のコストアップを通じて米企業収益を悪化させるリスクが高まり、メインシナリオの修正が迫られる。しかし大統領選の年であり、トランプ大統領は戦争を回避するはずで、現時点では一時的な悪材料と見るが、当面、最大の注意を払いたい。

19年のNYダウ平均の年間の上げ幅は約5210ドル(22.3%)で最大となり、トランプ米大統領が就任した17年の過去最大の上げ幅である約4956ドルを更新した。16年11月8日にトランプ氏が大統領選挙で勝利して以降、NYダウは1万0205ドル(55%)も上昇した計算になる。景気と株価だけを見ればトランプ大統領の成績には高い合格点が付く。

19年の日経平均は前年末比18.2%の上昇に留まったが、ドイツDAX指数は同25.5%上昇とNYダウを上回った。ただし、世界経済が絶好調だった18年の株価指数の高値水準からみれば、NYダウは1月に付けた高値で見て、すでに7%も上回っているのに対して、日経平均とドイツDAXともに1%ほど下回っている。ファンドマネジャーの立場に立って、世界経済の底打ち・反転シナリオが正しいと仮定すれば、中国経済の減速で企業活動が大きな打撃を受けた日本とドイツの企業業績が回復するシナリオを描きやすい。

ブルームバーグの集計による主要企業の1株当たり利益(EPS)の前年比増益率は、米国が18年+23.8%→19年予想+8.5%→20年予想+10.2%。対してドイツは同+10.4%→同+5.6%→同+14.1%と20年に大きく回復が見込まれる。日本は同▲2.6%→同+1.0%→同+5.5%と伸び率は低いが、マイナスから徐々にプラス幅が拡大していく。変化率を重視する株式市場では、過去3年間に大きく伸び切ったNY株式よりも日本やドイツの株式に、より大きい値上がり余地があるとして注目が集まるのではないか。

 

米大統領選の年の日本株は好パフォーマンス、年末高の公算

20年の最大のイベントは米大統領選だが、アノマリーを見てみよう。米大統領任期の4年間を就任「1年目」「2年目」「3年目」「4年目」の各年の米S&P500種の平均騰落率(1945年以降)は「1年目」が+8.2%、「2年目」が+5.0%、「3年目」が+15.2%、「4年目」が+6.3%と「3年目」が最大になる傾向がある。まさに19年がそうだった。翌年の大統領選に向けて就任「3年目」に景気刺激策が採られやすいことが理由と言われる。

一方、日本の場合(日経平均)は意外にも大統領就任「4年目」が+20.0%と「3年目」の+13.5%を上回る(1950年以降の17回)。1952年の朝鮮戦争特需景気による年間株価上昇率2倍や、1972年の日本列島改造景気による同90%上昇、不動産バブル景気末期の1988年の同40%上昇など大きな値上がりとなった年が多く平均を引き上げている。また、東証再開以来、日経平均が年間に25%以上も下落した4回のうち、3回は米大統領選の年に記録している。不動産バブル崩壊後の1992年、ITバブル崩壊の2000年、リーマン・ショック時の2008年である。残りの1回は1990年の米中間選挙の年だった。米大統領選の年の日経平均は値動きの荒い傾向があることにも注意しておきたい。

20年は東京オリンピックがあり、イベントが終了する年後半に株価が下落するとの見方もある。しかし、米大統領選の年は過去17回のうち10回が10~12月に年間の高値を付けている。直近ではアベノミクスがスタートした12年や英国のEU離脱を問う国民投票と米大統領選でトランプ氏が当選した16年も12月が年間高値年だった。

日本の景気や企業業績からみても年末高になる可能性がある。理由は19年10月1日に実施された消費増税の影響とその対策効果だ。増税後の日本の景気は消費者心理の悪化やデパートの売上高、自動車販売などを中心に不振を極めている。19年10~12月の実質経済成長率は前期比年率ベースでマイナス成長になる可能性が高い。しかし、安倍政権は景気を重視した大規模な補正予算と、積極的な新年度の大型予算を決定した。内需の回復と米中を中心に世界経済の底入れを見込めば、20年の10~12月期は高い経済成長が見込めよう。

企業収益も同様だ。3月期の決算発表となる5月の会社側の来20年度の期初業績見通しはかなり慎重なものが予想される。世界経済の回復で外需が回復力を増し、国内経済も増税の影響が薄れてくれば、経済対策の効果と相俟って9月中間決算時に上方修正される可能性が高い。経済と企業収益が年後半にかけて伸び率を高めるのに株価が下落するだろうか。20年相場の年末高シナリオは少なからずある。

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